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「スカルプD」を強調して、若者層に訴求する(テレビCMのシーンから抜粋、画像:アンファー)

ネットシフトに加えて、ミノキ5にはもう1つ特徴がある。60ミリリットルで税込み7800円と、大正のリアップより190円高く価格を設定したことだ。4本セットを購入した場合、使用後に提携クリニックで初診を無料で受けられるサービスがつくとはいえ、後発品が先発品より価格を高くするのはまさに異例だ。

アンファーのこうした戦略には伏線があった。実はアンファーは昨年10月に発毛剤を投入する手はずだった。当時もネット販売を主軸にしていたが、マツキヨが全面的に取り扱う計画で、同社とのタイアップの要素が強かった。発売に合わせて、マツキヨの営業担当幹部も同席し、都内ホテルで大々的に記者会見を開いたほどだった。

ところがその後発薬は発売からわずか2日で”幻”になる。添付文書に販売承認時と異なる効能説明のイラストがあることが判明。それを指摘したのは大正だった。商品は自主回収され、販売停止状態になった。アンファーは添付文書を作り直し、容器などに改良を加えたうえで、ようやく今回の発売にこぎ着けた。

大正製薬は余裕の構えだが…

迎え撃つ大正側は「これで市場が拡大してくれればいい」(梅岡久・大正製薬マーケティング本部長)と余裕の構え。安全性や効き目などを正しく伝えて、顧客や取引先などへのサポート、製品改善を繰り返すという。

ただその言葉は額面どおりには受け止められない側面がある。リアップの前2018年3月期の売上高は165億円。発売から19年が経ち、市場の成熟化や医療用医薬品の拡大などで、その額はピーク時のほぼ半分にとどまる。

今期は160億円を計画するが、出足の4?6月で34億円(前年同期37億円)と冴えない。「前期末の在庫消化に少し時間がかかっている」(会社側)。これまで高単価のリアップは大正に高い収益をもたらしてきたが、その勢いには完全にブレーキがかかっている。


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