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人工流れ星ベンチャーのALE(エール)を立ち上げた岡島礼奈・代表(撮影:今井康一)

今年も流星群はやってきた。8月11日から14日にかけて「ペルセウス座流星群」が見頃となり、真夏の夜を彩った。1月のしぶんぎ座流星群、12月のふたご座流星群と合わせて三大流星群の1つとされ、夏の風物詩ともなっている。

しかし、実際に流れ星を見つけるのは少し大変だ。なぜならいつ流れるかが正確にはわからないので、目を凝らし続ける必要があるからだ。もし流れ星の流れる時間が事前にわかればどんなにいいか。

一斉に流れる「流星群」を作りたい

宇宙ベンチャーは国内外で活況を呈している。米アマゾンのジェフ・ベゾス氏が創業したブルーオリジンや米テスラのイーロン・マスク氏が経営するスペースXは、民間でのロケット事業を手掛けている。

国内でも旅行会社HISと全日本空輸(ANA)が宇宙機開発ベンチャーのPDエアロスペースに出資。8月にはIHIや川崎重工業が事業協力を検討するスペースウォーカーが、2027年に日本国内として初の有人宇宙飛行の実現を目指すと公表した。

その中でも異彩を放つのが、ベンチャー企業のALE(エール、東京都港区)だ。人工的に流れ星を再現し、地上にいる人に宇宙を舞台にしたエンターテインメントを提供しようとしている。同社は7月中旬、2020年に広島を中心とした瀬戸内地域で、世界初の人工流れ星ショーを行うと発表した。

ALEの創設者でもある岡島礼奈・代表が流れ星に魅了されたのは17年前の2001年のこと。当時、東京大学の学生だった岡島氏は友人に誘われ、しし座流星群を見に行き、流れ星の楽しさを知った。

一方で、物足りなさも感じたという。「流星群というから流れ星のシャワーを浴びるイメージだったが、実際は十数分ごとにしか現れない」(岡島氏)。

「実際に複数の流れ星が同時に『流星群』として流れるのを見たい」(岡島氏)と人工流れ星の事業化を考え、2011年にALEを創業した。もともと理学の博士号を取得するなど天文学を研究していたバックグラウンドがあり、流れ星を人工的に作り出せれば面白いと思ったという。

「むしろ工学などを専門にしていたら、技術のことを心配して思い立てなかったかも」と岡島氏は振り返る。


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