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アマゾン創業者、ジェフ・ベゾス氏が求める組織とは?(撮影:今井康一)
8月16日時点のアマゾンの株式時価総額は9201億ドル。これまでのペースで伸び続ければ、史上2社目の株式時価総額1兆ドル超え企業(最初の1兆ドル超え企業は8月2日に達成したアップル)になることはほぼ間違いない。アマゾンは、いったいなぜ破格の成功を収めることができたのか。成毛眞氏が近著『amazon 世界最先端の戦略がわかる』で描いたその素顔の一端をのぞいてみよう。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾスの組織観がうかがえるエピソードがある。研修の際に、数人のマネジャーが従業員はもっと相互にコミュニケーションを取るべきだと提案したところ、ベゾスが立ち上がり、「コミュニケーションは最悪だ」と力説したという。

ベゾスにとって、コミュニケーションを必要とする組織は、きちんと機能していないという証拠でしかないというのだ。

ベゾスが求めるのは、協調などするよりは個のアイデアが優先される組織である。つまり、権力が分散され、さらにいえば組織としてまとまりがない企業が理想だという。たとえば、クラウドコンピューティングサービスの「Amazon Web Services(AWS)」を開発している部署は、リアル店舗事業である「Amazon GO」には興味がない。それがいいというのだ。

その意味では、ローマ帝国のように勢力を広げていく、一見、何の事業会社か説明が難しいアマゾンは、ベゾスの理想をまさに体現しているといえよう。

失敗を繰り返してヒットを作るという経営方針

ベゾスは、理系のトップらしいところが出ているように思う。たとえば、経営数値にあまりとらわれないところだ。

公認会計士など、文系の人間は、今期の決算の数字を見るようにトレーニングされているが、理系は後付けでしか勉強していないから、自分のやりたいことをやる。キャッシュフロー経営などは、そこから生まれているのではないか。

当然のことながら、AIなどテクノロジーへの感性も理系のほうがある。たとえば、理系には実験がつきものだ。実験したら失敗することがあることを、経験的に知っている。アマゾンは、よくベータ版を作ってテストをする。


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