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――2018年8月末、「爆買い」消費の聖地だった銀座のラオックス本店が閉店したのは象徴的でした。

閉店の理由は、5年間の定期借家契約が終了したから、という単純なものだ。われわれとしてはもっと長く続けたかったが、契約を更新すると、銀座の賃料はより高くなり、採算が取れなくなるおそれがあった。

もっとも、世間には大きなインパクトを与えたかもしれないが、業績への影響はほぼない。近隣にある、「銀座イグジットメルサ店」が売上高の約8割を吸収しており、前より採算がよくなったくらいだ。

中国人が求めるのは「日用品」

――「ラオックス」店内も、以前は炊飯器などが大量陳列されていましたが、最近ではだいぶ変化があります。

今、中国人が欲しい日本の商品は、日用品だ。中国人のライフスタイルは、もう日本人とほとんど同じ。日本人が普通の生活で必要なものは、中国人も欲しい。先日、北京に出張してきたが、現地で日本の肌着や文房具が人気だという話を聞いた。

特定のものが大量に売れた以前と違って、トレンドは瞬く間に変わっていくため、もっと迅速かつきめ細やかにマーケティングしていかなくてはならない。その点当社では、中国現地の子会社が、ネット上のトレンドをつねに見ているばかりか、中国のオンライン旅行会社シートリップや、(情報アプリの)大衆点評などと連携し、需要のある商品の情報がすぐにキャッチできる。結果、販売効率のよい商品を集めることができている。

――免税店のテコ入れを続ける一方、事業領域の拡大も矢継ぎ早に進めています。ただ、婦人靴メーカーやギフト店を買収するなど、今後、どのような事業ポートフォリオを築きたいのかが見えにくい印象です。

脈絡なくいろいろ買っているように見えるでしょう(笑)。でも、私の頭の中では、どの買収も連関している。着目しているのは、日本の商品だ。私が「グローバルライフスタイル時代」と呼ぶ、価値観が多様化しデジタル化が進んだ社会が来たとき、日本のライフスタイル全体を中国はじめ、世界に売っていきたい。


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