ニュース本文


2018年8月末に閉店したラオックスの銀座本店。5年間の定期借家契約が終了したことが、閉店の理由だという(編集部撮影)
ラオックスが、免税店を主体としたビジネスからの“脱皮”を図っている――。

「爆買い」が流行語になった2015年前後、同社の免税店には中国人観光客が団体で来店し、銀座や新宿などの繁華街で高価な宝飾品や家電を買い求める姿が目立った。それが今の売れ筋は化粧品や医薬品など単価の低い日用品に変わった。
客単価の下落が決定打となり、ラオックスの業績は右肩下がりに。そんな中、同社の羅怡文社長が推し進めているのが、事業の多角化だ。2016年には民事再生手続中の婦人靴メーカー、2018年にもギフト店「サラダ館」を運営する赤字のシャディを買収。ほかにも、2017年には千葉県にショッピングモールを開業、劇場やレストランの運営も始めた。
ただ、早くも今年度に商業施設や劇場などが減損の対象になるなど、順調な滑り出しとは言いがたい。不振の靴やギフト店をどのように再生し、需要を創出できるかも未知数だ。新生ラオックスは、免税店から何の会社を目指すのか。羅怡文社長に聞いた。

「足元の業績は及第点以下」

――免税店主体からの業態転換を進めています。免税店の不採算店の縮小にはほぼメドがついたと聞いていましたが、2018年通期の営業利益の予想を10億円から一転、3億円の赤字に下方修正。いったい、何があったのでしょうか。

ごめんなさいね、悪い業績で。この3年間、不採算店を閉鎖するなど、苦しみながら構造改革を進めてきて、一定の成果は出た。進捗度でいえば、8割くらい。

ラオックスの羅怡文社長は「事業基盤がまだ脆弱だ」と語る(撮影:梅谷秀司)

ただ、足元の業績は及第点以下だ。9月の西日本豪雨、北海道の地震などの自然災害が直撃し、その後訪日客の旅行のキャンセルが相次ぐなどで、大きな影響を受けた。訪日客からの需要が高い西日本や北海道には、当社の免税店も集中しているからだ。

直接的な原因は災害だが、根本的にはラオックスの事業基盤がまだ脆弱なことに原因がある。特定の地域や業態に依存しない、バランスの取れた事業を作っていかなければならないと強く感じた。

勘違いしないでいただきたいのは、免税店は今後もわれわれの主力事業であることに変わりはなく、きちんと成長させ続けるということ。ただ、全体の業績に占める依存度は下げていく。最盛期で当社の売上高の8割を占めたが、今期は4割くらい。2020年度までには、3割以下にしたい。


1 2 3 4


記事一覧 に戻る 最新ニュース読み比べ に戻る