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石油業界ではいち早くLNG(液化天然ガス)を強化した会社として知られている(撮影:今井康一)
貝殻マークで知られる世界的な石油企業、ロイヤルダッチシェル。およそ100年にわたって日本で事業を展開してきたが、傘下にある昭和シェル石油は来春、出光興産と経営統合する見通し。これから日本とのかかわりはどうなるのか。ガス、再生可能エネルギー事業を統括するマーテン・ヴェツェラー取締役に聞いた。

日本各地に「ロゴマークが残ってほしい」

――2019年春、昭和シェル石油が出光興産と経営統合します。

多数の企業が、石油需要が年々減少する市場で競争するのは中々厳しい。経営統合は健全な展開だと思っている。統合することで規模の経済を活かし、コストを下げることは有効だ。シェルは日本で事業を始めて100年以上の歴史がある。これからも日本各地でシェルのロゴマークが残ることを祈っている。

――他方、グローバルではどのような点に注力していくのでしょうか?

事業としては多角化していくと思う。かつてシェルの事業の中で石油関連の占める割合は最も大きかったが、今では天然ガスの方が大きくなっている。向こう10?15年で石油需要のピークが到来し、将来的に石油事業はシェルの中で1番小さなものになる。

マーテン・ヴェツェラー(Maarten Wetselaar)/アムステルダム自由大学博士後期課程(経営管理)修了。1995年にロイヤルダッチシェルに入社。2013年からシンガポールで統合ガス事業のエグゼクティブバイスプレジデントを務め、2016年から現職(撮影:今井康一)

今後は低炭素のエネルギーを生産・提供するグローバルプレーヤーとしてBtoB、BtoC両方の事業をやっていくことになる。もちろん石油から他のエネルギーに切り替えることが難しい産業に対して石油の供給も続けていく。

今世紀中にシェルの事業で一番大きな部分を占めることになるのは低炭素の電力事業だ。そして電力事業とつながりのあるガス事業が相当大きな規模であることはアドバンテージになる。再生可能エネルギーにも年間20億ドルの投資していく方針だ。

事業ポートフォリオとしては太陽光や風力、ガスがある。既に幾つかの国で市場参入しているが、市場の特性に応じて参入の仕方は様々あると考えている。例えば米国で自社電源ではなく、他社から調達した電力が大半だ。電力のトレーダーとして全米第2位の規模を誇る。

顧客が求めているのは事業者への信頼だ。電力を売っていく上で、シェルブランドを活かしていきたい。


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