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ネット上で旅行手配を行う消費者だけでなく、客室を販売する宿泊機関に対しても不安を高め、観光庁をも注意勧告を促す事態となった今回の「カラ売り」。改めてシートリップのウェブトップページを見てみると、日本語サイトには今回のトラブルについての説明が掲載されているものの、英語や中国語のサイトでは一切本件については触れられていない。

また、中国の地元メディアも本件については沈黙している(12月10日朝現在)。いわゆる訪日客が「架空販売」に引っかかっている可能性もあるのに、それらに対するケアや追及がないのはどうしてなのだろうか。

「一部の悪質業者によるもの」と説明

トライシーの後藤編集長は、「施設側があずかり知らぬところで高額販売されているというところが大きな問題」と指摘する。一方のシートリップは、今回の「架空受付」について、「社内調査を行った結果、『カラ販売』に関しましては、一部の悪質な販売業者によるものと判明いたしました」とする見解を発表。

これに対して、日本の宿泊業界の間で、逆にシートリップに対する不信感が高まっている。「架空在庫の販売(カラ売り)」という異常な取引を起こしたことはもとより、「シートリップとの直接取引がないにもかかわらず、勝手に自社の部屋を売られたことに対する怒り」が重なる格好となったからだ。

また、シートリップが「一部の悪質な販売業者によるもの」と責任転嫁したことに対しても、業界内のあちこちで同社の監督責任問題を問う声が上がっている。これまでシートリップ経由で自社の客室を売っていた宿泊施設は、今回のトラブルを受け、「直接取引を取りやめる決断をしたところも多い(業界関係者)」という。

では、トリップドットコムを運営する会社、シートリップは怪しい会社なのだろうか。「中国系のオンライン旅行社(OTA)」と聞いて身構えてしまう人も少なくないと予想するが、実はOTA業界で世界最大級の規模を持つ「知る人ぞ知る」会社なのだ。


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