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首相サイドが「誤算が誤算を生んだ」(官邸筋)をうなだれる改憲戦略だが、最大の泣き所は与党・公明党の抵抗だ。同党の山口那津男代表はかねてから「国民的合意が得られる状況とは思えない」と首相の前のめりの姿勢をけん制し、「自民党が改憲案を提示するには、野党も参加できる環境を与党が整えるべきだ」と指摘している。

改憲協議での公明党責任者の北側一雄憲法調査会長は「自民党としてこういうイメージを持っていると発言することを駄目だという理由が私には理解できない」と野党の対応も批判するが、同党内では「通常国会での憲法論議に同調すると、参院選で支持者の反発を招く。すべては参院選後にすべきだ」(同党幹部)との声が支配的だ。

こうした状況については「首相も十分理解している」(官邸筋)とみられている。臨時国会での与野党改憲論議が進まないことについて、首相自身がメディア各社幹部とのオフレコ懇談で「簡単に進むとは思っていない」などと弱音を吐いたとされる。首相の「政界の師」である小泉純一郎、森喜朗両元首相も、側近などに「安倍政権での改憲などできっこない」と突き放しているといわれる。

ハト派でないと改憲は無理

自民党内の「護憲派の牙城」とされる岸田派(宏池会)からは「タカ派の首相では無理だ。ハト派の岸田氏に改憲論議を引き継がなければうまくいかない」(幹部)と“ポスト安倍”を絡めた声も漏れてくる。

来年の政治日程をみると、春から夏にかけて、統一地方選、皇位継承、大阪でのG20首脳会議、参院選など、内外の重要行事が目白押しだ。1月下旬に召集予定の通常国会でも、選挙を意識して与野党が激突する場面が相次ぐと思われる。それだけに、「会期中に自民党改憲案を提示しても、実質審議に入れる保証はない」(自民国対)というのが実態だ。このため、公明党の求める「改憲論議は参院選後に」というのが永田町の常識となりつつある。


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