ニュース本文


iDeCoもつみたてNISAも運用収益を加味すれば、実際の受け取り額は高まります。どちらの制度も運用益は非課税ですが、年3?4%程度の利回りを求めて国内外に分散投資する投資信託を買ったものとします(運用コストを引いた実質利回りは3.5%とする)。

すると、20年後にはiDeCoが416万円、つみたてNISAが1145万円となります。夫と妻がそれぞれ同額を保有したとすれば、なんと合計3122万円、退職金を加えれば5000万円以上の資産をもってセカンドライフをスタートできることになります。

私は昨年、『共働き夫婦 お金の教科書』という本を出しましたが、パワーカップルはそのひとつの理想型であると感じています。現役時代もエンジョイし、かつ子育ても取り組みつつ、老後の豊かさも引き寄せることができるのは共働きならではでしょう。

パワーカップルに近づくために

パワーカップルに近づく第一歩は正社員になることです。人手不足が当たり前になりつつあるわが国において、正社員の有効求人倍率は1倍を超え、徐々に正社員として働く立場を確保しやすくなってきました。今まで非正規雇用で働いていた人は転職のチャレンジをしてみるのもいいかもしれません。

また、仕事がハードで両立ができないなど個別の問題もあると思いますが、正社員の立場から離れないことも重要なカギとなります。多様な働き方を社会が少しずつ認めるようになってきているので、時短勤務や週3日勤務のような変則勤務、在宅勤務なども許されるようになっていくでしょう。できるだけ辞めずに働き続けてみてください。

正社員を続けていれば、安定した収入はもちろん、将来の退職金や厚生年金の権利も手に入れることになります。専業主婦になってパートとなる場合と生涯収入を比べると確実に1億円以上の差になるでしょう。

「世帯収入1000万円」にどうしても目がいってしまうため、ひとごとのように感じてしまう人もいると思います。ですが、合計1000万円に達しない場合もパワーカップルのスタイルを参考にしてみると、キャリアへの意識やお金のやり繰りに対する意識の変化が生まれ、パワーカップルに近づくことができるかもしれません。パワーカップルの、パワフルなライフスタイルが次の時代のスタンダードになっていけばと思います。

山崎 俊輔 フィナンシャル・ウィズダム 代表 ファイナンシャルプランナー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまさき・しゅんすけ / Syunsuke Yamasaki

1972年生まれ。中央大学法学部卒業。企業年金研究所やFP総研を経て2001年独立。全国紙などで連載。著書に『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門』など。

この著者の記事一覧はこちら

1 2 3


記事一覧 に戻る 最新ニュース読み比べ に戻る