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今後、CEOに対する莫大な報酬の是正はなされていくのだろうか(写真:ロイター/アフロ)

カルロス・ゴーン前日産会長兼CEOが自らの役員報酬の正しい開示を怠ったという疑いが事実だとすれば、すぐに次の疑問が湧いてくる。なぜ開示を怠ったのか、という疑問だ。役員報酬の額が適切だと本人が感じていたのなら、なぜ開示しなかったのだろうか。

ゴーン事件に関する解説が急増する中、上記の疑問への答えとして最も一般的に挙げられているのは、ゴーン氏らはおそらく、日本の公平をめぐる規範を理由に、自分自身の役員報酬が批判されることを懸念したのではないか、というものだ。だが、これは本当に日本独特の規範なのだろうか。

ゴーン氏の報酬は国際的基準からみても高額

私はそうは思わない。 実際、アメリカをはじめ各国の改革推進者たちは、自国におけるCEOの過剰な報酬を取り締まろうと試みているところだ。そしてそういった改革の声は、善良な資本家や民主的社会主義者などからも上がっている。 CEOと従業員の平均給与の比率が100や500以上の場合、ビジネスにとっても社会全体にとってもいいことではない、と多くの人が感じているのだ。

ブルームバーグと国際通貨基金(IMF)のデータによると、CEOの年間報酬と従業員の年収中央値の比率は、アメリカでは265、日本では58、英国が201、ドイツは136だ。

ざっと見積もっても、ゴーン氏の報酬は伝えられるところによれば年間約10億円、それに加え、報告されていなかったとされる繰り延べ報酬がさらに約10億円。日産の普通の従業員が500万円稼いだとするなら、ゴーン氏はその従業員の約400倍稼いだことになる。したがってゴーン氏の報酬は、国際的な基準からみても高額だといえる。

しかし、有能なCEOには高額な報酬に見合う価値があるのではないか。その是非について考えてみよう。


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