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キズや汚れにあまり神経質になるのではなく、注意してほしいのはシャワーヘッドやシャワーホース、収納扉のノブといった標準仕様品が設置されているかどうかだ。ドアや窓を自分が日常的に行っているやり方で開け閉めしたり、廊下を歩いたり、トイレの便器に腰かけてみたり、普段の生活の動きをなぞってみることもチェックになる。

また、キッチンや洗面、浴室では、きちんと水が出るかどうか、水を流してみたら水漏れが生じていないか、換気扇などは正常に動くかなど、住んでから発見すると生活に支障をきたしそうな不具合がないか確認することが大事だ。

不具合トップ5

マンションの場合、エントランスホール、廊下などの共用部分は引き渡しまで売り主・施工会社の責任で検査が行われ、購入者が検査することはできない。共用部分については、専門家にアフターサービスの期間内(おおむね2年が多い)に点検を依頼し、保証内容に該当する不具合があれば売り主に補修請求するといいだろう。

現場立ち会い・同行経験から、新築マンションの「不具合トップ5」をご紹介しよう。

5位:床の凸凹

ホームインスペクター(住宅診断士)は スリッパを履かずに靴下で診断を行う。踏みしめて、凸凹がないかチェック。直床の場合は、フローリング直下にコンクリート面があり、すり足で凸凹をチェックできる。

4位:壁・クロス下地の凸凹

下地に凸凹があると、表面のクロスにシワやヨレが生じる。また、クロスの端部やつなぎ部分にすき間がないかも確認しよう。引っ越して家具を配置してからの修繕は大変だ。

3位:浴室換気ダクトの排気漏れ

浴室の天井についている浴室点検口を確認。換気ユニットとダクトの接続部分から排気が漏れていることがある。そのまま換気扇を作動させると、浴室内の湿気を含んだ空気が天井裏に排気されてしまい、天井裏に湿気がたまりカビや腐食の原因となる。

2位:壁や床の傾き

施工誤差について、一般的に3/1000mm以上の傾きがあると、家具や物を置いた場合、グラつく可能性がある。ホームセンターなどで市販されている水平器などを用意すればセルフチェックできる。

1位:建具・扉のガタつき

住戸内には、ドアだけでなく引き戸や襖など、たくさんの建具がある。すべての扉を開閉し、ガタつきがあったら調整してもらおう。開閉の向きや傾きも確認。不具合があると何かにぶつかったり、床がこすれてしまう可能性がある。

新築マンション・一戸建ての内覧会はあなた自身の「施主検査」。内覧会では家具の配置など入居後の生活を想像するだけでなく、今後の生活のためにも、しっかりとチェックを行おう。

長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

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ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

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