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谷垣氏はまず「3年前の夏、私の不注意から大けがをして突然仕事ができなくなり、大変ご迷惑をおかけしました」とお詫びから切り出した。大怪我からのリハビリ中に「全国の党員・党友らから大変な励ましの言葉を頂いた」と会場を見回した後、「私が今楽しみにしているのは、来年の東京パラリンピックです」「自分が障害を負うと、障害というものは一人ひとりで抱えている課題が全部違う」と語った。

続けて谷垣氏は「パラアスリートの方々がそれぞれの課題をどう乗り越えて、どう勇気を振り絞って大会に挑戦されるのか、ぜひ拝見したい。それが私にも勇気を与えてくれる」と真剣な表情で会場に語りかけた。さらに谷垣氏は、今年が改元の年で、世界情勢も激動していることを指摘し、「新しい道を切り開くには、自民党がさらに精進して、安定した政治をつくっていくことではないか」と首相らへの熱いエールで締めくくった。

メモも持たず、声量豊かに会場の一人ひとりに呼びかけるような約5分間のスピーチに、会場は大きな喝采と歓声に包まれた。インターネットでの中継動画でも「ガッキーいいぞ!」「参院選に出るべきだ」「車椅子の総理目指せ」などの書き込みがあふれた。

二階幹事長の登場でしらけムードに

谷垣氏とは対照的に、その後党情報告で登壇した二階俊博幹事長の声は弱々しく、ろれつの回らない場面もあったため、会場はしらけムードに。ネット上でも「大丈夫か」「眠くなる」「早く終わりにしろ」などの批判的な書き込みが相次いだ。

最後に登壇した安倍首相は、12年前の第1次安倍政権下での参院選に触れ、「亥年の参院選で惨敗を喫したことは、当時総裁だった私の責任で、このことは片時も忘れたことはない」と振り返った。その上で、「我が党の敗北で政治は安定を失い、そして悪夢のような民主党政権が誕生した。あの時代に、戻すわけにはいかない」と口を極めて民主党政権を批判。参院選勝利に向けた党内の結束を訴えた。

通常国会での最大の火種となっている毎月勤労統計調査の不正問題については「徹底的に検証し、再発防止に全力を尽くすことで責任を果たす」と紋切型で短く言及。憲法改正については「立党以来の悲願である憲法改正に取り組む時が来た。憲法にしっかり自衛隊と明記して違憲論争に終止符を打とう」と呼びかけたが、昨年と同じ表現にとどまった。

首相演説には会場から「よ?し!」「そうだ!」などの掛け声もあったが、「悪夢のような」発言に首を傾げる向きも多く、熱気は谷垣スピーチには及ばなかった。自民党の石破茂元幹事長は「(悪夢発言で)過去の政権を引き合いに自分たちが正しいと主張するやり方は危ない」と批判した。その一方、党大会後に二階幹事長が「素晴らしかった。谷垣さんの復活、復帰を期待している」と目を潤ませて語るなど、谷垣氏の演説に賛辞が広がった。


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