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経済の多くの問題の根っこには、「企業規模」の問題があるといいます(撮影:尾形文繁)
オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。退職後も日本経済の研究を続け、『新・観光立国論』『新・生産性立国論』など、日本を救う数々の提言を行ってきた彼が、ついにたどり着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行された。
人口減少と高齢化という未曾有の危機を前に、日本人はどう戦えばいいのか。本連載では、アトキンソン氏の分析を紹介していく。

人口減少と高齢化で国内需要は確実に減る

日本はこれから、規模もスピードもこれまでとはまったく違う、「異次元」とも言うべき人口減少時代を迎えます。その破壊力は極めて強く、大きいものです。「異次元」の人口減少には、「異次元」の対策を持って対応しなければなりません。

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これまでの連載のコメントを見ると、「中小企業をすべて守れ」「今までの産業構造を変えるな」などというものが散見されます。そういう方は、日本が「平時」であり、変える必要がないと考えているように見受けられます。これはあまりにも近視眼的な見方であり、危惧せざるをえません。

先日上梓した『日本人の勝算』、そしてこの連載の主旨は、人口減少による悪影響を直視し、できる限り「事前に」賢い対応を考えていこうということです。

これからの日本は需要が構造的に減少しますので、需要に対して供給が過剰になります。対策の1つとして、供給過剰分を単に削減するのではなく、できる限り海外に輸出することが望ましいのは言うまでもありません。

その準備には、今すぐとりかかるべきだと思いますが、その前にもう一度、人口減少による需要減少を考える必要があります。


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