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ホテルオークラ東京は1962年に本館、1973年12月に別館が開業した。老朽化が進んだ本館は2015年8月末で閉館し、同じ場所で大規模な建て替えを進めている。

2019年9月に再開業を予定する「新本館」は、総工費1100億円。高さ188メートル(41階建て)、同75メートル(17階建て)の2つの高層ビルからなる。ホテルや大型の宴会場、レストラン以外にオフィスを備えている。

手前のビルが建築中のホテルオークラ東京新本館。奥が別館(記者撮影)

新本館は客室面積を広く取り、料金は1泊1室4.5万円?7万円超と、外資系の高級ホテル並みとする見通し。旧本館の平均客室単価が2013年には2万円程度、インバウンドが活況の現在でも別館が同3万円程度であることからすると、大幅な引き上げだ。さらに、客室数は旧本館の408室から、新本館では508室に増やす計画だ。

再開発の対象に含まれていない別館(388室)について、昨年6月の会見で荻田敏宏社長は「(別館について)2020年までの営業は続けるものの、中期的な方針は未定」と話していた。

閉館理由は開発費を賄うため?

オークラはここにきてなぜ、別館の閉館を決めたのか。老朽化した別館の運営から手を引き、大型化・高級化した新本館の運営に集中したい。あるいは、新本館の総工費が巨額なことから、少しでも資金を捻出したいという狙いがありそうだ。

オークラは別館の土地と建物を保有している。同社が土地を保有したまま計画を進めるのか。それとも野村不動産に売却するのかについて、両社とも「協議中」としている。

現在、虎ノ門周辺では大規模な再開発が進行している。森ビルは2014年に開業した「虎ノ門ヒルズ」(地上52階建て、高さ247メートル)の周辺に、新たに3棟の超高層ビルを計画。東京メトロ・神谷町駅周辺の港区虎ノ門5丁目?麻布台1丁目でも大規模な開発を進めている。

森トラストも2020年竣工予定の地上38階の「東京ワールドゲート」や赤坂2丁目に超高層ビルを計画中だ。超高層化が急速に進む虎ノ門エリアの今後に注目が集まる。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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