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知っておきたい「二日酔い」のメカニズムと胃腸の関係(写真:Fast&Slow/PIXTA)
お酒の飲みすぎは健康にとって大敵ですが、適量を正しく飲めば「百薬の長」と呼ばれることも。寄生虫博士としても知られる医学博士の藤田紘一郎氏は、“第二の脳”ともいわれるほど重要な「腸」が喜び、健康にもいいお酒の飲み方を提唱しています。『病気にならない、太らない、若返る?「腸」が喜ぶお酒の飲み方』の著書もある藤田氏に、カラダをいたわりながら、おいしくお酒を飲む方法について語っていただきます。

なぜ「腸」が大事なのか?

「腸内フローラ」という言葉は聞いたことがあるかと思います。人によって異なるものの、200種類100兆個の腸内細菌が存在し、吸収だけでなく、排泄、免疫、解毒など、さまざまな機能を担っています。健康的な腸には腸内細胞がきれいに分布し、繁殖している状態が花畑のようであることから「腸内フローラ」と呼ばれているんです。

お酒をおいしく飲みたいなら、日常的に胃腸の調子を整えておく必要があります。そのときに真っ先に考えておくべきなのは、腸内フローラの状態です。腸内フローラのベストなバランスは、腸内にたくさんの善玉菌、わずかの悪玉菌、そしてどちらにも味方する日和見菌をほどほど存在させておくことです。日和見菌は、善玉菌が多いと善玉菌と同じ働きをし、悪玉菌が増えるとそちらに味方する日和った性質があるため、こんな名前となりました。

こう聞くと、「悪玉菌をなくせばいいのでは」と思いがちですが、悪玉菌をすべて退治してしまうと、逆に腸内のガードが甘くなってしまいます。腸内細胞を適切なバランスにするには、セルロースを含む不溶性の食物繊維など、悪玉菌を働かせておく野菜を取ることと、善玉菌を増やす豆類などを食べればいいのです。不溶性のセルロースを多く含む食材としては、大豆、いんげん豆、小豆、キクラゲ、干ししいたけなどがあります。

「飲む前の牛乳」は都市伝説?

お酒を飲む前に「胃腸に膜をつくる」ものとして、牛乳が挙げられます。「そんなのは都市伝説だ」という方もいると思われますが、まんざらウソではなく膜自体はつくられます。ただし、アルコールはそれよりも小さな分子であるため、牛乳でできた膜で吸収を悪くさせることはできません。それは牛乳を飲まなかった方とほぼ同じです。ただし異なるのは、アルコールの分解のスピードです。


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