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時紀行

 水平線に広がる夕日を一望できる愛媛県伊予市のJR下灘(しもなだ)駅。夕日が沈む位置は季節によって違い、太陽と海と空が魔法のように織りなす絶景は日々、刻々と変化する。

 穏やかな海、澄んだ冬空。JR予讃(よさん)線の下灘駅(愛媛県伊予市)のホームに立つと、視界いっぱいに広がる瀬戸内海に心がとけていくようだ。向き合う自分の大きさがわからなくなる。

 太陽は演出がうまい。キラキラと海面を輝かせ、夕刻には空を茜(あかね)色に染めていく。単線ホームの三角屋根、二つある青いベンチ、たたずむ人たちがすべて、夕日を浴びて影絵になっていく。

 気づくと、影絵の人が増えていた。会社員の渡辺優美さん(23)は京都からの一人旅。「仕事でミスばかり。周りの目が怖くなった。ここなら元気をもらえる気がして」。雲間から出た夕日に、まぶしそうに目を細めた。

 真冬の日没は午後5時過ぎ。空は頂から藍色が深まり、水平線近くは残光に照らされて赤みが増していく。約40分間の「マジックアワー」の始まりだ。

 見計らったように、観光列車

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