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 国連憲章違反のロシアの侵略に対し、ウクライナの防戦を支えたのは、米国が中心となった軍事支援だ。だが、戦争の長期化は支援国側の政治情勢にも影を落とし、ウクライナは死活的に重要な局面を迎えつつある。19日からの国連総会一般討論は、首脳らが戦況をにらみつつ、国際世論の主導権を争う舞台となる。

 バイデン米大統領は19日の一般討論で、ウクライナのゼレンスキー大統領らが見守るなか登壇した。領土保全など国連憲章の原則を強調した上で、「もし侵略者に譲歩するため中核的原則を放棄するとすれば、どの国連加盟国が、自国の安全保障に確信を持てるというのか」。そう問い、ウクライナ支援を訴えた。

 国連憲章が国際平和に「主要な責任」を負うと定めるのが国連安全保障理事会だ。しかし、その安保理拒否権を持つロシアの侵略に対し、国連が果たせる役割は限られた。バイデン政権は戦争への直接介入は避けつつも、英独仏などと連携した軍事支援でウクライナの崩壊を防いできた。

 6月に始まったウクライナの反転攻勢では、中南部ザポリージャ州でロシアの防衛線の一部を突破したほか、ロシアが支配下に置く東部の要衝バフムート周辺の村の奪還をウクライナ側が宣言するなど、徐々に成果が見え始めている。ただ、ロシアが実効支配するウクライナ南部クリミア半島に至る物資の補給路を断ち、領土の大幅な奪還につながるような突破口は、まだ開けていない。

 イラクアフガニスタンでの戦争に疲弊した米国社会では、巨額の軍事支援をつぎ込む対外関与に慎重論もある。国際協調重視を掲げるバイデン民主党政権は、ウクライナ支援を続ける姿勢を一貫して示してきたが、ここにきて世論の変化が顕著になりつつある。

 米CNNの7月の世論調査で…

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