牧原秀樹法相は2日の就任会見で、選択的夫婦別姓制度について問われ、「議論を強引に進めることで国民の分断が生まれるようなことは避けなければならない」と述べ、国会の議論を注視する姿勢を示した。賛否は言及しなかった。
会見では、五輪出場選手を誹謗(ひぼう)中傷した人について「全員逮捕すべき」とした過去のSNSの投稿についても問われ、「何とかそういうの(誹謗中傷)を止めたいという思いがあった」と釈明した。
牧原氏は今年8月、パリ五輪選手に対するSNSでの誹謗中傷を念頭に、「誹謗中傷した人は全員逮捕すべきだと思います。発信者は容易に特定できるのでひとり残らず処罰すべきだと思います」「それに何らかの支障が出る場合には、そうできるように法律も変えていきたいと思います。許せません」と投稿していた。
会見では「個人としての投稿」で、法相として同じ立場をとるわけではないと説明。その上で、投稿の趣旨について、「(選手が)すごい努力をしてやってきたことについて、そうした発言によって、静謐(せいひつ)で集中すべき環境が失われるというようなこともあって、心配するあまりに、そういうことを書いて何とか止めたいという思いがあった」と述べた。
警察の内規「犯罪捜査規範」は、「捜査は、なるべく任意捜査の方法によって行わなければならない」と規定している。牧原氏は「逮捕というのは警察行政の話。法相としては法務行政が適正に行われるようにしていきたい」と語った。
再審をめぐる法改正を求める動きがあることについては、「様々な観点から慎重かつ丁寧な検討が必要だ」などと述べるにとどめた。(久保田一道)