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激闘の後、ふと頭をよぎったことがある。4年前、ブラジルでこういう試合をするはずだったのではと。この日セネガル相手に示した揺るぎない気持ちが、あのときにあれば、あるいは……。

4年遅れで日本流の緩急をつけたサッカーが急速に形になりつつある。もともと自分たちに向いたやり方だから、無理なく実践できるということなのだろうか。

コロンビア戦の先発メンバーをそのまま踏襲した。尻上がりに改善した連係をそのままセネガルにぶつける腹。しかし、日本代表の西野監督は「(キックオフの)ボールが半回転した時点」で相手の速さとパワーに度肝を抜かれたという。

11分には捕球すればいいボールを川島がパンチングして失点。押し寄せる波の大きさにのまれた格好だった。が、今大会の日本の選手たちは簡単にはしおれない。試合前に同監督から「引いて戦うのは簡単だが、今日も前でポゼッションして強気で行こう」と檄(げき)を飛ばされたとおりの戦いを実践していく。

巧妙だったのは全選手の位置取り。マイボールにするとボランチの長谷部と柴崎は縦の関係になり、両SBは積極的に高い位置を取って中盤に厚みをつくる。CBに長谷部を加えた3人でパスを回しながら、機を見て鋭い縦パスを打ち込んでも「前の選手はぴたっとボールを止められる選手ばかり」と昌子。

大迫、柴崎、香川の縦パスを引き取る動きとさばきの良さが、周りの追い越す動きをどんどん誘う。34分に乾のゴールで追いついたころには形勢はまったくの互角になっていた。「ハーフタイムの選手の顔は自信に満ちていた」と西野監督。

面白いことに、自分たちの特長を全開に張り合ううちに、不利とされた肉弾戦も粘り強く戦えるようになった。絶好機に大迫の空振り、乾のクロスバー直撃のシュートもあった。セネガルのシセ監督も認めた。「今日、試合をコントロールしたのは日本だった」

第3戦は中3日で1次リーグ敗退が決まったポーランドが相手。肉体的には相当きつい試合になる。引き分けても2位は確定するが、西野監督は「次につながる勝ち点1。トップ通過を狙える状況にあると思いたい」とあくまでも強気である。

(エカテリンブルク=武智幸徳)



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