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左45度からのひと筋の弾道が日本を呼び覚ました。乾の同点弾が、そこから連なる日本の熱い反撃の口火となった。

34分。左から最終ラインの奥へ走り出す長友の動きを柴崎がとらえる。寸分の狂いなくパスが届く。しかし、長友はピタリと止められず右へ流してしまう。拾った乾はすぐには打たなかった。「スルーするか迷った。(拾った直後の)あの角度では入らない。そこからうまくコントロールできた」。左にトラップ、右に持ち替えてコースをつくり出し、トン、トン、トンのリズムで右足を一振り。抑えを効かせやや巻き込み、ゴール右隅へ吸い込ませるかのような美しいショットだった。

65分にも大迫が前線でタメを作って流したボールに駆けつけた。やや遠めながらも右足で同じようにゴール右へ。だがこちらはゴール右角にはじかれた。「何というか……。2点目を取るチャンスがあったので満足していない。決めないと、ああいう(逆に得点される)流れになってしまう」

それでも1ゴール1アシスト、長友らとともに左サイドでこれでもか、とコンビネーションを繰り出した。この左回りの攻め口が西野ジャパンの武器になっている。パラグアイ戦でも似た地点と角度から決めており「打つ、と決めたときに今は自信を持って打てている」。今や左45度は乾の角度。高校時代からボールタッチとドリブルにこだわり、スペインでさらに熟成させた、乾の至芸といっていい。

(エカテリンブルク=岸名章友)



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