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波乱が相次いだ大会で前人未到の大記録を打ち立てた。10度目の優勝の感慨を、水谷はしみじみと語った。「1回優勝するだけでも大変なのに。自分を褒めてあげたい」

13年連続の決勝の舞台。対峙した相手は昨年敗れた張本ではなく、今大会でダブルスを組み勝手知ったる大島だった。「ちょっとラッキーでしたね」。両ハンドの強打とフットワークを誇る24歳はラリーに強いが、台上技術なら水谷に一日の長がある。「サーブとレシーブで先手を握れた」。第1ゲームこそ落としたものの、第2ゲーム以降は主導権を握り続けた。

プレー以上に観客をどよめかせたのは試合後のインタビューだった。「今年で最後の全日本選手権にしたい」。大会前から節目の優勝を花道にしたいと考えてきたという。誰よりも全日本に懸けてきた自負があるが、単独最多を更新した9回目の優勝以降「気持ちが強く持てなくなった。これ以上、全日本でラケットを振るのは無理」。

残されたエネルギーを傾けるのはもちろん、選考レースが始まった東京五輪。「これからも若手の壁になる」との言葉に、代表切符は譲らないとの決意がにじんだ。(山口大介)



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