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企業業績の拡大にブレーキがかかる。上場企業の2019年3月期は増益予想から一転、3期ぶりに減益になりそうだ。中国景気など世界経済の不安要因が自動車・部品や電気機器を中心に日本企業の業績に具体的に表れ始めた。今年に入り慎重な見通しが相次ぎ、下方修正額は計1兆3千億円に達する。利益水準はなお高いが先行き不透明感は増している。

3月期決算企業の純利益の合計は昨年11月時点では前期比1%強増と3期連続の最高益見通しだった。それが昨年末以降、潮目が変わった。

年明けから相次いだ下方修正の合計額は足元で約1兆7500億円。上方修正分(4千億円弱)を差し引いても約1兆3千億円と、3月期企業の利益見通し総額(約29兆円)の5%相当の下押しになった。

修正額は世界的に資源安が進んだ16年3月期以来の大きさだが内容は異なる。16年は石油会社や商社による千億円超の大型修正が目立ったのに対し、今回は下振れの「裾野」が広いのが特徴だ。

業種別では自動車・部品や電気機器が代表例だ。中国市場を中心に自動車やスマートフォン(スマホ)といった製品の伸びが鈍化し、幅広いサプライチェーンを通じて影響が広がった。

「18年7?9月期、10?12月期と前年同期比減益で右肩下がりだ」とスズキの長尾正彦取締役は言う。約4千億円下方修正したトヨタ自動車の場合、株式評価損という一時的要因が大きいが、系列部品7社中4社も下方修正しており世界市場の減速がうかがえる。

電機ではスマホのけん引力が薄れた影響が電子部品や半導体製造装置まで広がり、京セラSCREENホールディングスが予想を見直した。工場自動化関連の部品を扱うミスミグループ本社は「昨年10月以降費用を抑え、19年1?3月期も倉庫の立ち上げを遅らせるなどして費用を減らす」。長引けば設備投資減を通じ日本経済の下押し圧力になりかねない。

一方、利益水準は最高益に近く好調な企業も少なくない。全体の4社に1社が最高益を更新する見通し。代表例がソニーだ。半導体減速の悪影響を、ゲームや音楽など景気にかかわらず継続して課金収入を得られるビジネスが補う。商社でも大手7社が最高益を計画する。資源価格に振り回された過去の反省から進めた非資源分野の育成が進み、収益源が多様化した。訪日客需要の追い風を生かした鉄道や不動産など内需の一角も堅調だ。



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