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途中降板を告げられ、ベンチへ引き揚げる藤浪
途中降板を告げられ、ベンチへ引き揚げる藤浪

 突然だけど、いきなりプチ自慢が私めにはある…いや「あった」と過去形で言うべきか?

 阿部牧郎という作家。京大仏文科を出て、何度も直木賞の候補になりついに1987年「それぞれの終楽章」で第98回直木賞を受賞した。

 阿部先生は野球に関する小説も多い。その関係で若いトラ番の頃に甲子園の記者席で、ゲスト観戦記などを書いていただいたものだ。その横でピヨピヨのトラ番は次から次へとチャプリンのライムライトよろしく仕事をこなしていく。今でこそパソコン時代で最終版勝負だが、若い頃は夕刊用、地方版、そして最終版と何度も虎の記事を書いたものだ。そのバタバタの状態のなかで1球ごとにストライク、ボールをこと細かくスコアブックに正確に書き込むわけ。

 「いゃあ…とても僕には無理だよ。そんなことしてたら肝心の試合は全然、見てられないじゃないか? それにしても…すごいね」と阿部先生に驚かれたことがある。

 以来、阿部先生と顔が会うとその時の話が出て…「僕にはスポーツ記者は無理だ」とシミジミと言われた。

 その阿部先生が舌を巻き右から左への速射砲のようなスコアブックの1球1打…。それがこの日、木っ端みじんに打ち砕かれた。

 快調にとばす藤浪晋太郎がバックの拙守からリズムが狂ったか…四回に突如として乱れた。

 正直、なんのこれしき…任しとけ…と思ったが年はとりたくない。記者席にいたわけじゃない。編集局の窓際「虎ソナ」席のモニターの前なのに…めちゃくちゃになって…。それについてはどうかサンスポの紙面をゆっくり眺めながら、ウンチクをかたむけてもらいたい。



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