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千葉県は19日、7月1日時点の県内の基準地価を公表した。前年比での平均変動率は、住宅地が2・5%と2年連続のプラスとなり、商業地が3・7%と10年連続のプラス、工業地が7・1%となるなど、いずれも上昇率が前年から拡大した。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、コロナ禍で大打撃を受けた対面型サービスの活動が活発化していることや、住宅などの購買意欲を後押しする低金利環境が、地価を押し上げている。
住宅地の平均変動率は、平成19年の1・5%以来の高水準となった前年の1・0%をさらに上回った。
市区町村別の順位は、市川市が11・3%で首位となり、前年に首位だった浦安市が8・9%、流山市が7・2%で後に続いた。地価調査鑑定評価員の鈴木聡・県代表幹事は、市川市が首位となった背景について「(住む上で)人気なエリアである総武線沿線という強みがある上、本八幡での再開発も大きい」と指摘する。ワーストは、マイナス2・5%の銚子市だった。
ただ、住宅地をみると、上昇が30市区町だったのに対し28市町村で下落。前年に引き続き、東京に近い都市部と郊外で地価の動向が二極化している。
商業地の平均変動率は、前年の2・0%を上回る3・7%となった。市区町村別の順位は、浦安市が14・2%で首位となり、市川市の13・0%、船橋市の10・2%が続いた。ワーストは5年連続で富津市となり、マイナス3・3%だった。
東京五輪のサーフィン競技の会場となった効果で前年に8・5%と首位だった一宮町は5位だったが、7・2%と高い上昇率を保った。鈴木代表幹事は「サーファー関係者の定住が根付いたものの、値段は(なお)安い」との見方を示した。
商業地の地点別の価格は、JR千葉駅近くの千葉市中央区富士見2丁目が7年連続で首位。地点別の上昇率上位には、東京湾アクアラインからアクセスしやすい木更津市金田東(19・4%)や、地下鉄東西線浦安駅のある浦安市北栄(15・7%)などが入った。
工業地の平均変動率は、14年ぶりに5%を超えた前年(5・1%)をさらに上回る7・1%だった。中でも、湾岸エリアの船橋市や市川市で大きく上昇しており、都心部への利便性の高さや働き手の確保がしやすいといった点が背景にあるという。鈴木代表幹事は「関東近県の中で千葉県はまだ値段が安く、道路のインフラも整えていたので需要は高い」としている。
全用途の平均変動率は2・8%で、前年(1・2%)をさらに上回った。
基準地価は、都道府県が7月1日時点で調べた1平方メートル当たり(林地は除く)の土地の価格で、県は59市区町村の計875地点を調査対象とした。