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超高齢社会に入り、「健康寿命」への関心が高まっている。病気に苦しんだり、介護を受けたりせず、いかに元気に人生を送ることができるかを語ってもらった。
「国民の3割が高齢者」という時代が目前に迫っている。総務省統計局が9月16日の「敬老の日」を前に発表したまとめで、65歳以上の高齢者人口は3625万人、総人口に占める割合は29.3%と、いずれも過去最高に達した。
今回は、健康上の理由で日常を制限されずに生活できる「健康寿命」をいかに延ばすか。自身や家族がやっていること、不安なことを語ってもらった。
ユーザーからは「いろいろなことに挑戦する」「歩いて足を鍛える」「よく笑う」などの発言が寄せられた。「理想は『ピン・ピン・コロリ』」という声も目立った。
そこで、平成19年からウオーキングなどの健康増進と食生活改善で天寿を全うする「ぴんころ運動推進事業」を続けている長野県佐久市の担当者に、「元気で長生き」のコツを聞いた。
家族や仲間と「共食」が理想
健康づくり推進課の栄養士、佐々木かつ子さんは健康長寿につながる「ぴんころ食」の5つのポイントとして、「腹八分目、塩分を取りすぎない、旬の野菜をたっぷり、タンパク質をしっかり、食材をまんべんなく」を挙げる。平成8年に実施した高齢者へのアンケートで、健康長寿の市民の食生活に共通していた点だという。
市はイベントや教室で家庭でも取り入れやすいレシピの普及を続けている。市内では5つの飲食店が独自の「ぴんころ御膳」を提供している。
市によると、令和4年度の介護保険の要介護・要支援認定率(65歳以上)は15.9%と、国全体(19.4%)を大きく下回った。
多くの自治体が指標とする要介護度1以下の健康寿命は男性81.0歳、女性85.4歳で、国全体(男性80.1歳、女性84.4歳)を上回り、平均寿命との差も国全体より小さいなど、佐久市の健康長寿ぶりを裏付けている。
管理栄養士の木内春奈さんは「主食に偏りがちな朝や昼に、野菜やタンパク質のおかずを意識してほしい」と訴える。さらに「人数が増えれば皿数も増える。家族や仲間との『共食』が理想」と話す。
1人暮らしの人など、こうした食生活が難しい人も多いだろう。佐々木さんと木内さんは「塩分を加えていない天然だしを用いた具だくさんのみそ汁、タンパク質を『ちょい足し』できる豆腐、ツナ缶などの利用がおすすめ」という。