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公開中の作品から、映画担当の記者がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。

「はたらく細胞」

映画「はたらく細胞」?清水茜/講談社 ?原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 ?2024映画「はたらく細胞」製作委員会
映画「はたらく細胞」?清水茜/講談社 ?原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 ?2024映画「はたらく細胞」製作委員会

「翔んで埼玉」などの武内英樹監督の面目躍如たる人気漫画の実写化。やたらと大勢のキャラクターが登場するが、それぞれに明確な役割を与え、特徴を際立たせる手腕が相変わらず見事。笑いあり、アクションあり、そしてやっぱり泣かされる。

高校生の漆崎日胡(にこ、芦田愛菜)と父、茂(阿部サダヲ)の現実世界と2人の体内が舞台。健康な日胡の体内では、赤血球のAE3803(永野芽郁)や白血球のU?1146(佐藤健)らが楽しく働いているが、異変が起きる。

ドラマ「マルモのおきて」の名コンビ、芦田と阿部が現実世界の父娘を堅実な芝居で見せる。その分、2人の体内というファンタジー部分では、細胞たちがギャグとアクションで大いに弾ける。

永野は、おっちょこちょいだが責任感が強く、決してくじけないヒロインを、いつも通りの手堅さで演じる。佐藤は白塗りで白血球にふんしている。アクション監督が佐藤主演の「るろうに剣心」の大内貴仁(たかひと)。佐藤が白塗りの緋村剣心に見えてきて、胸が熱くなる戦闘場面になっている。

13日から全国公開。1時間49分。(健)


「映画 ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」

映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」?2024?映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」製作委員会
映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」?2024?映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」製作委員会

児童書の実写化。路地裏に突然現れる不思議な駄菓子屋。客に必要な特殊な効能がある駄菓子を提供している。ただし、これを食べて幸せになるか不幸になるかは本人次第。どことなく「ドラえもん」と「笑ゥせぇるすまん」を合体させたような趣だ。

天海祐希が特殊メークで手までふっくらとさせ、銭天堂の主、紅子を演じる。ライバルの「たたりめ堂」の主、よどみに上白石萌音。紅子とよどみのにらみ合いは迫力満点で、さすがにうまい2人だ。

監督は、ホラーの名手、中田秀夫。総じて冬休みの子供向け作品だが、邪気の描写などに中田色が出ている。

13日から全国公開。1時間43分。(健)


「お坊さまと鉄砲」

映画「お坊さまと鉄砲」(c) 2023 Dangphu Dingphu: A 3 Pigs Production & Journey to the East Films Ltd. All rights reserved
映画「お坊さまと鉄砲」(c) 2023 Dangphu Dingphu: A 3 Pigs Production & Journey to the East Films Ltd. All rights reserved

国の豊かさの指標にGNH(国民総幸福量)を掲げるブータン。王制から立憲君主制の民主主義国家へと転換されたが、本作は初の選挙を目指し、山間の村で行われた模擬選挙をめぐる物語だ。

2006年、模擬選挙の話を聞いた高僧が、なぜか若い僧に銃を手に入れるよう指示する。時を同じくして米国から南北戦争時代の?幻の銃?を探しにコレクターの男がやってきて、村を巻き込んでの騒動に。

監督・脚本は「ブータン 山の教室」のパオ・チョニン・ドルジ。前作同様、仏教に根差した文化や伝統を時にユーモアを交えて描いており、心温まる。ブータン・仏・米・台湾合作。

13日から全国順次公開。1時間52分。(啓)


「不思議の国のシドニ」

映画「不思議の国のシドニ」? 2023 10:15! PRODUCTIONS / LUPA FILM / BOX PRODUCTIONS / FILM IN EVOLUTION / FOURIER FILMS / MIKINO / LES FILMS DU CAMELIA
映画「不思議の国のシドニ」? 2023 10:15! PRODUCTIONS / LUPA FILM / BOX PRODUCTIONS / FILM IN EVOLUTION / FOURIER FILMS / MIKINO / LES FILMS DU CAMELIA

日本を舞台に、仏の女性作家が体験する哀悼の終わりと再生をユーモアを交えて描く。エリーズ・ジラール監督自身の来日体験を基に作られた。

自作の宣伝で来日した作家、シドニ(イザベル・ユペール)は、独特の風景や文化、編集者・溝口(伊原剛志)の無口さに戸惑う。だが、夫のアントワーヌ(アウグスト・ディール)の死以降、小説が書けなかった彼女は、次第に心がほぐれていくのを感じ…。

仏壇のお供えの風習などを例に、日本を「死者がそばにいる国」としてとらえた点が面白い。シドニはこの国で夫と再会し、真の別れを告げる。どこかとぼけた語り口に味わいあり。仏・独・スイス・日合作。

13日から全国順次公開。1時間36分。(耕)



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