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IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子会長は5日、技術者向けのオンラインイベントで「(設立から10年以内で評価額が10億ドル以上になった新興企業を指す)ユニコーンを量産する」と述べ、社員約3000人の半数にあたる約1500人規模で新規事業を立ち上げる計画を発表した。
人工知能(AI)を活用して業務を効率化し、現業に携わる人員を半減。M&A(企業の合併買収)を活性化し、AIが業務を代行する法人向け「AIエージェント」や中国市場を見据えた個人向けサービスの開発に注力する。
南場会長はイベントで社員が10人規模ながらユニコーンに成長した米国企業の事例を紹介し、「DeNAはAIにオールイン(全賭け)する」と宣言。「(AIの活用で)半分の人員で現業を成長させていく」とし、半数の1500人を10人単位のチームに分け、新規事業を立ち上げる構想を明らかにした。
南場会長は「AI中心に業務を組み替えるのは、ドラスティック(激烈)な改革になる。トップが自ら(AIを)使い倒して、可能性に感激して興奮し、改革のエネルギーに変えて引っ張らないといけない」と強調。「AIは(市場が急拡大する)おいしいタイミング。AIを使えば10年で100年分の仕事ができるぞと張り切っている」と語った。
新規事業は、多様な生成AIモデルとの連携しながら、利用者との接点になるアプリケーションの開発を中心に取り組む。法人向けにはAIエージェントに注力。個人向けには、画期的のサービスが生まれている中国市場を視野にゲームや娯楽分野での関連サービスを開発する。
M&Aも活性化し、スタートアップが集まりやすい環境を構築する。社内で立ち上がった新規事業との相乗効果を狙い、成長後の独立も支援する。DeNAは社員に社内起業を積極的に促しており、スタートアップ支援を加速させる考えだ。南場会長は「社会課題を解決するのはスタートアップ。会社組織も固定化が一番よくない」と述べた。(高木克聡)