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 水俣病の患者・被害者団体と伊藤環境相による再懇談が2日目を迎えた10日、伊藤氏は水俣病センター相思社(熊本県水俣市)を訪れ、水俣病患者連合(松村守芳会長)の要望や訴えを聞いた。(古野誠、白石一弘)

伊藤環境相と懇談する水俣病患者連合の人たち
伊藤環境相と懇談する水俣病患者連合の人たち

 開始に先立ち、伊藤氏は同センターの資料室を非公開で視察。懇談会場の仏間では、水俣病で亡くなった患者の 位牌いはい が安置された仏壇に手を合わせた。

 午前10時から始まった再懇談で、伊藤氏は5月1日に環境省職員が団体の発言中にマイクを切ったことについて、「皆さんの声を 真摯しんし に受け止める姿勢が欠如していた」と述べ、改めて謝罪。「本日は十分な時間をとって、皆さんからいただいた要望や質問に対して可能な限りお答えし、前進できる場にしたい」とあいさつした。

 団体側からは、物価高などを踏まえた療養手当の見直し、通院に必要な交通手段の確保、介助者の交通費の補助などを求める意見が出た。また、患者の認定、未認定を巡って支援の差がある現状が「(認定患者と未認定患者間の)溝を生んでいる」と指摘した。

 懇談で窮状を訴えた1人、村上てるみさん(65)は母親(86)と2人暮らし。いずれも1995年の政治決着で救済対象となった。加齢に伴って病状が悪化しており、「通院のタクシー代が2か月で1万円かかる。生活費を削って暮らしている」と話し、施策の拡充を求めた。

 午後3時半過ぎの懇談終了後、伊藤氏は約1時間、団体事務局長の永野三智さん(40)の案内で相思社が運営する「水俣病歴史考証館」を視察して2日目の日程を終えた。最終日の11日は、5月の懇談に参加した8団体の一つ、水俣病被害者獅子島の会(鹿児島県長島町)との懇談に臨む。