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地球温暖化の影響で日本やアフリカで豪雨が起きやすくなったとの分析結果が19日、専門家のグループなどにより相次いで発表された。日本では今夏、豪雨をもたらす積乱雲の連なり「線状降水帯」の発生数が1・5倍に増えたほか、数千人以上が犠牲となった北アフリカ・リビアの洪水の発生に影響したことが分かったという。

分析はいずれも、温暖化と異常気象の関係をコンピューターで数値化する「イベント・アトリビューション」と呼ばれる手法によるもの。温暖化のない世界を仮定し、異常気象の発生確率などを比較した。
気象庁気象研究所などの研究チームは、今年6月?7月上旬の日本の大雨を分析。その結果、線状降水帯の発生数は、温暖化がなければ3分の2程度に抑えられたとの結果を得た。特に九州で影響が色濃く、7月上旬の九州北部の大雨では総雨量が16%増えたことも分かった。
一方、欧米の気象学者でつくる国際研究グループは、北アフリカ・リビアで洪水を引き起こした今月の大雨について、「温暖化で発生確率が50倍に上がった」とする分析結果を発表した。

発表によれば、リビア北東部の総雨量は、温暖化がなければ3分の2程度に抑えられた可能性がある。今回の豪雨は「300?600年に1度」というまれな現象だったものの、温暖化がなければ発生確率はさらに低かったという。
東京大の中村尚教授(気候力学)の話「今年は特に大気と海水の温度が高く、世界的に大雨につながる条件がそろっていた。今後も温暖化で豪雨が増えるとみられ、さらなる備えが必要だ」
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