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小米科技(シャオミ)のサブブランドであるPOCOが発表した最新フラッグシップスマートフォン、「POCO F8 Ultra」の実機レポートをお届けする。
驚くほど音が良い
3月、POCOは初の「Ultra」モデル、「POCO F7 Ultra」を発売した。649ドル(日本では税込9万9800円)という価格にしては優れたデバイスだったが、それでも価格が2倍以上するサムスンの「Galaxy S25 Ultra」のような、主流のフラッグシップ機と同じ土俵にあるとは言えなかった。しかし、その後継機となるPOCO F8 Ultraは、より大型のディスプレイや大容量バッテリーといったプレミアムな機能を搭載し、その差を縮めた。そして、スマホに搭載されるとは予想もしなかった独自のセールスポイントも備えている。それは、驚くほど音が良いということだ。
POCOは、F8 Ultraを「プレミアムフラッグシップセグメントへの正式な参入」と位置づけており、価格の上昇もそれを反映している。POCO F8 Ultraの価格は729ドル(約11万円)で、先日発表された900ドルからの「OnePlus 15」よりは安い。「OPPO Find X8 Ultra」や「Xiaomi 15 Ultra」、Galaxy S25 Ultra(いずれも1000ドル超え)と比較できるものではないかもしれない。しかし、これまで筆者がテストしてきたどのスマートフォンも、オーディオ品質に関してはPOCO F8 Ultraの足元にも及ばない。
POCO F8 Ultraは、上部と下部のスピーカーに加え、背面カメラの隣にBoseブランドのサブウーファーを配置した計3基のスピーカーを搭載している。これにより、完全な2.1chステレオ出力(2は2つのスピーカー、.1はサブウーファーを表す)が可能となり、実際に聴いてみると予想以上にスケールの大きなサウンドが楽しめる。音に心地よい深みと低音が加わっているのが特徴だ。
Boseがチューニングしたサウンドプロファイルは、「ダイナミック」と「バランス」の2種類から選択できる。デフォルトのEQプリセットには「イマーシブ(没入)」(360度効果のためにわずかなエコーを追加)と「ボイス」(ボーカルを強調)がある。さらに「カスタム」設定でイコライザーを自分好みに調整することも可能だ。
筆者は低音が強化される「ダイナミック」プロファイルを使用した。広いサウンドステージで音楽が豊かに響き、大音量にしてもスマホのスピーカー特有の音割れは皆無だった。比較すると、「バランス」設定はよりフラットな音に聞こえる。
POCO F8 Ultraを使ってYouTube動画やNetflixの番組をいくつか視聴してみた。シャワー中に良い音楽を聴くのが好きなので、バスルームスピーカーとしても使ってみた。もちろん、Bluetoothスピーカーに接続するのと同じではないが、驚くほどまともな音がする。実際、今ではタブレット(自宅ではいつもこれを使っていたのだが)よりも音が良いため、POCO F8 Ultraでメディアを楽しみたいと感じる。
ただ、これほどの音質を備えたスマートフォンを受け入れる準備が、世の中にできているかどうかは疑問だ。地下鉄などでスマホのスピーカーから音を流している人をすでに見かけるが、この機種の登場で車内がさらに騒々しくなるかもしれない。自分の部屋などのプライベートな空間で、ヘッドホンやイヤホンなしで動画を楽しみたい人には、POCO F8 Ultraはうってつけの1台だ。
ジーンズのように手に馴染む
本体を裏返すと、もう1つのユニークな特徴に気づく。背面にはデニムのような仕上げが施されており、まるでジーンズのような手触りなのだ。POCOによると、背面は「シャオミの第3世代ナノテク素材で覆われており、汚れや摩耗に対する耐久性を備えつつ、テック感のあるシックな見た目を実現している」とのことで、本物の布地ではない。冷たいコーヒーを数滴垂らして耐久性をテストしてみたが、何の影響もなかったことを報告しておこう。
側面はフラットながら、F8 Ultraは持ちやすい。角が丸く、背面の側面がわずかに湾曲しているため、写真を撮るときでも快適なグリップ感が得られる。
驚異的なスピーカーシステムに加え、ディスプレイも強力だ。6.9インチ、解像度2608×1200ピクセル、リフレッシュレート120Hz、ピーク輝度3500ニト、Dolby Vision対応というスペックを誇る。「HyperRGB」スクリーンと呼ばれる技術を採用しており、赤と青のサブピクセルを緑と共有するのではなく、各ピクセルが赤、緑、青のサブピクセルを持っている。実際に使ってみると、画面はシャープで鮮やか、明るい日光の下でも読みやすい。ただし、特にHyperRGBによる違いについては、カジュアルなユーザーには気づかないレベルかもしれない。
メディア視聴を支えるため、POCO F8 Ultraは6500mAhのバッテリー(F7 Ultraの5300mAhから増加)を搭載し、100Wの有線充電に対応している。ただし、この速度で充電するには対応する充電器を購入する必要がある。50Wのワイヤレス急速充電と22.5Wのリバースワイヤレス充電にも対応しており、ワイヤレスヘッドホンや他のスマートフォンなどのデバイスを充電できる。
7日間使用してみたが、バッテリー切れの不安を感じることは一度もなかった。1回の充電で楽に丸一日持った。
POCO F8 Ultraは、Qualcommの最も強力なチップセット、「Snapdragon 8 Elite Gen 5」を搭載している。これはOnePlus 15に搭載されているのと同じチップセットであり、今後登場するサムスンの「Galaxy S26 Ultra」にも搭載される可能性が高い。
「HyperOS 3」を搭載し、高速かつ軽快に動作する。まだゲームをする時間は取れていないが(お気に入りの映画を見るのに夢中だったため)、負荷の高いゲームセッションでどのようなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみだ。
カメラはどうか?
光学系についても触れておこう。POCO F8 Ultraは、広角、超広角、望遠の各レンズに5000万画素のセンサーを搭載し、カメラが強化されている。ただし、望遠と超広角のセンサーサイズはかなり小さい。
POCO F8 Ultraは、その価格にしては写真の画質が非常に良い。シャオミのフラッグシップ機とは異なり、POCOのカメラはライカによるチューニングの恩恵を受けていない。しかし、写真は鮮やかで、色が際立つ仕上がりになっている。
テスト中、F8 Ultraの動作が不安定で、写真処理に苦労する場面があった。例えば、あるショットでは背景を処理できていたのに、2枚目では完全に失敗し、私の後ろにある白い背景が白飛びしてしまったことがあった。
望遠レンズで撮影した画像はディテールがしっかりしており、私は特にポートレートが気に入っている。望遠レンズはマクロカメラとしても機能するが、低照度下ではメインカメラに切り替わってしまうことがあった。超広角カメラに関しては、画質は平均的で、色が変わりやすい傾向がある。また、倍率は0.7倍(18mm相当)であり、他の多くのスマートフォンほど広角ではない。「iPhone 17」の超広角は13mm相当のレンズだ。
全体として、メインカメラと望遠カメラの写真は気に入っている。同価格帯のiPhone 17やGalaxy S25よりも汎用性が高く、有能なカメラシステムだと感じた。
POCO F8 Ultraは「買い」か
私はオーディオを理由にスマートフォンを勧めることなどこれまでなかったと思うが、POCO F8 Ultraはまさにメディア再生に特化した1台だ。オーディオシステムはこのクラスで最高レベルであり、美しいディスプレイと長いバッテリー持続時間も備えている。今では、動画や音楽を楽しむためのメイン端末となっている。
POCO F8 Ultraの価格は、12GB RAM/256GBストレージのモデルが729ドル、16GB/512GBのモデルが799ドル(約12万円)。
POCOはより手頃な「POCO F8 Pro」も発表しており、こちらは579ドル(約9万1000円)からだ。ひと回り小さい6.59インチのAMOLEDディスプレイ、6210mAhのバッテリー、そして同様の「Sound by Bose」スピーカーを搭載している。両機種とも、防塵・防水性能はIP68等級だ。
POCO F8 Proは、2024年のフラッグシップである「Snapdragon 8 Elite」プロセッサーを搭載し、12GBのRAMと256GB/512GBのストレージを備えている。カメラシステムはダウングレードされており、5000万画素のメインカメラ、5000万画素の2.5倍光学ズーム望遠カメラ、800万画素の超広角カメラという構成になっている。
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