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米連邦準備理事会(FRB)のクック理事は25日、自身を解任する権限はトランプ大統領になく、辞任するつもりはないと表明した。資料写真、ワイオミング州ジャクソンホールで23日撮影(2025年 ロイター/Jim Urquhart)
米連邦準備理事会(FRB)のクック理事は25日、自身を解任する権限はトランプ大統領になく、辞任するつもりはないと表明した。資料写真、ワイオミング州ジャクソンホールで23日撮影(2025年 ロイター/Jim Urquhart)
[ニューヨーク/ワシントン 25日 ロイター] - トランプ米大統領は25日、住宅ローン契約を巡る不正疑惑を理由に、米連邦準備理事会(FRB)のクック理事を解任した。独立した金融政策機関であるFRBの理事を大統領が解任するのは異例。
トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に投稿したクック氏宛ての書簡で、同理事が2021年にミシガン州とジョージア州の不動産に関する別々の住宅ローン申請書類で、両物件とも居住予定の主たる住居として申告したことを問題視し、 「解任に足る十分な理由があると判断した」と説明。合衆国憲法第2条および1913年連邦準備法に基づき、同氏を解任する権限があると主張した。
クック氏は当該取引について、まだ詳細な説明を行っていない。同氏とFRBのコメントは得られていない。
FRB理事の任期は大統領の任期より長く設定されているが、連邦準備法は現職理事を「正当な理由」で解任することを認めている。ただ、特に1970年代以降、米国大統領は金融政策への信頼を確保するためFRBの問題に不干渉の姿勢を取ってきたことから、この権限がこれまで試された事例はない。
トランプ氏は書簡で、クック氏が「欺瞞(ぎまん)的で犯罪の可能性がある行為をした」と非難し、同氏の「誠実性」を信頼できないと言明。「問題となっている行為は少なくとも、金融取引における重大な過失を示すもので、金融規制当局者としての能力と信頼性に疑問を投げかける」とした。
クック氏解任を受け、米国債の利回り曲線はスティープ化し、短期的な金融政策見通しに敏感な2年債利回りが低下した一方、インフレリスクに敏感な10年債利回りは上昇した。
クック氏は黒人女性初のFRB理事で、22年にバイデン前大統領に指名された。
ペンシルべニア大学でFRBの歴史を研究しているピーター・コンティブラウン氏は、住宅ローン取引はクック理事が任命される前のことであり、上院で審査され承認されたときには公式記録になっていたと指摘。「過去にさかのぼって公的地位から罷免可能な事由を構成するという考えは私には解任理由の概念にそぐわないように思える」と述べた。
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