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2時間前
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イラン国営テレビは12日、新しい最高指導者モジタバ・ハメネイ師の初の声明として、ホルムズ海峡の封鎖を続けるという政府の方針を伝えた。ハメネイ師自身は登場せず、アナウンサーがその声明を代読した。最高指導者に選ばれて以来、ハメネイ師は公の場に姿を見せていない。近影の写真や映像も公開されていない。ホルムズ海峡は世界の石油輸送の要衝。こうしたなか国連は、2月末から続くイランへの攻撃で、同国内で約320万人が避難していると推計している。
国営テレビが伝えたモジタバ・ハメネイ師の声明は、米・イスラエルとの戦争で殺害されたイラン人の「血をあがなう」と述べ、近隣諸国に対しては、米軍基地の受け入れを停止するよう警告した。
最高指導者に選ばれてから初めて本人名義で公表された声明で、ハメネイ師は、ホルムズ海峡は「敵がきわめて脆弱(ぜいじゃく)」な状態にある場所なため、「ホルムズ海峡封鎖を、てこの力」として使うべきだと述べた。
さらに、イランは地域内の米軍基地への攻撃を継続するとも述べた。
また、イラン政府は近隣諸国との「友好」方針を掲げているものの、各国に米軍基地の閉鎖を求めると警告。「私たちは15の隣国と陸または海の国境を共有しており、常にすべての国々と温かく建設的な関係を求めてきた」と述べた。
そして、「これらの国々は、我が祖国への侵略者、そして我が国民を殺す者たちへの、自分たちの立場を明確にしなくてはならない」、「私は彼らに、できるだけ早くそのような基地を閉鎖するよう勧める」とした。
新しい最高指導者の声明は、「ミナブの学校に対してわざと行った犯罪」など「子どもたちに対する犯罪」にも言及した。
アメリカ・メディアの報道によると、米政府の調査担当者たちは、イラン南部ミナブで軍事基地近くにあった学校を、米軍が誤って攻撃したとみている。
ハメネイ師は声明で、自分がイランの最高指導者になったことを国営テレビで知ったと述べ、「私は、尊敬すべき専門家会議の投票結果を、皆さんと同時に、イスラム共和国のテレビを通じて知った」と説明した。
モジタバ・ハメネイ師は、父アリ・ハメネイ師が戦争初日の2月28日に殺害された後、3月8日に最高指導者に任命された。
モジタバ・ハメネイ師は、父を殺害した米・イスラエルの攻撃で妻と息子を失った。母親も攻撃で死亡したと報じられたが、イラン革命防衛隊(IRGC)に近いファルス通信は12日、母親は生きていると伝えた。
ロイター通信は匿名のイラン当局者の話として、モジタバ・ハメネイ師が2月28日の攻撃で「軽傷を負った」と報じたが、詳細は明らかになっていない。彼は公の場に姿を見せておらず、最高指導者就任以降、写真や映像も公開されていない。
イラン国営テレビのニュースチャンネルは、彼を「ラマダン戦争の経験者」と呼んでいえる。負傷したかどうかについては触れていない。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこの数時間後、イランの首都テヘランを新たに攻撃したと発表した後、イランの新指導者について「公の場に姿を見せることができない」「革命防衛隊の操り人形」だと批判した。
首相は、モジタバ・ハメネイ師と、イランが支援するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ナイム・カッセム師について尋ねられると、「そのテロ組織指導者たちには、私なら生命保険を認めたりしない」と述べた。
イランは、ホルムズ海峡を通航する船舶を攻撃すると脅している。同海峡では平時、世界の石油の約2割が通過する。
イランが海峡を通るタンカーの航行を妨げ、ペルシャ湾内のタンカーを攻撃しているため、原油価格は急騰している。
イラン政府のエブラヒム・ゾルファカリ報道官は11日、「地域の安定を損なったのはそちらだ。石油価格はこの地域の安定に依存するものなので今後、1バレル200ドルになると覚悟しておくように」と述べた。
IRGCは同日、アメリカとイスラエル、および両国の同盟国に向かうタンカーはすべて正当な攻撃対象だと警告した。
国際エネルギー機関(IEA)は、石油市場が「史上最大の供給混乱」に直面していると警告している。
イランがホルムズ海峡での船舶を攻撃すると表明する中、計約2万人の船員がペルシャ湾で船に取り残されている。BBCニュースの取材から、戦争が始まって以来これまでに8人の船員が死亡したことが分かった。タイ船籍の貨物船メーユリー・ナリーへの攻撃では3人が行方不明となっている。
イラン国内で320万人避難
国連難民高等弁務官事務所の最新推計によると、イスラエルとアメリカが2月28日にイランへの攻撃を開始して以来、イラン国内で最大320万人が避難を余儀なくされている。
多くの人が首都テヘランやその他の主要都市を逃れ、農村地域に避難している。その中には、イランで数十年暮らしている多くのアフガニスタン難民も含まれるという。
イスラエル国防軍は13日未明、テヘランで「大規模な波状攻撃を開始した」と発表した。テヘラン全域にあるイラン体制のインフラを標的としていると述べている。
イスラエル軍は12日には、レバノンの首都ベイルートと同国南部でも「ヒズボラのインフラ」を標的とした「複数の波」の攻撃を開始したと述べている。
イスラエル国防軍は通信アプリ「テレグラム」での更新で、イスラエルへの攻撃を推進するために使用されていた、ヒズボラの「複数の司令センター」を攻撃したと述べている。
レバノン保健省によると、レバノン国内での3月2日以降の死者数は687人に達した。前日の634人からさらに増え、子ども98人と女性62人が含まれるという。
レバノン当局によると、同じ期間の負傷者は1774人で、その中には子ども304人と女性328人が含まれる。
イスラエルはレバノンを拠点とするヒズボラを連日空から攻撃するほか、レバノン南部に地上部隊を進めている。
イギリスのジョン・ヒーリー国防相は12日、イラク・アルビルに駐留するイギリス軍が昨夜、ドローンを2機撃墜したが、一部は標的に命中し、複数の米軍死傷者が出ているとの報告があると明らかにした。
ロンドン北西部ノースウッドのイギリス軍司令本部を訪れた国防相に対して軍幹部は、攻撃ドローンの使用方法において、イランとロシアの間に「決定的なつながり」があると報告したという。
ヒーリー国防相は記者団に対し、イランによるドローン攻撃にはロシアがウクライナに対して行っている攻撃方法の特徴が見られると述べ、「イランの戦術の一部にプーチンの隠れた手があると考えても、決して意外ではない」と話した。
他方、米軍は12日、イラクで米軍給油機が墜落したと認めた。2機の航空機が関わった「事案」の後に空中給油機が墜落したという。「敵の攻撃や味方の誤射」によるものではないという。
事案に関与したもう1機は、安全に着陸したと中央軍は説明している。