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プーチン氏、ウクライナの領土を改めて要求 米との協議を前に
2025年11月28日 11:19
更新 3時間前
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は27日、ウクライナでの戦争でロシアが戦闘を止めるのは、ロシアが領有を主張する地域からウクライナ軍が撤退した場合のみだと述べ、この戦争における核心的な要求を改めて強調した。
プーチン氏はこの発言で初めて、過去1週間の慌ただしい外交の動きに言及した。この間、アメリカとウクライナは、米露の当局者が10月に起草したとされる和平案をめぐり、集中的に協議を重ねていた。
キルギスを訪問中のプーチン氏は記者団に対し、ウクライナが「最後のウクライナ人まで戦う」ことを望んでいると非難。「原則として」ロシアもそれに応じる準備があると述べた。
また、ロシアが戦場で主導権を握っているとの見解を改めて示し、戦闘が終わるのは、ルハンスク州とドネツク州から成るドンバス地方からウクライナ軍が撤退した時だと強調した。
「(ウクライナが)撤退しないなら、こちらは武力でそれを実現する」とも、プーチン氏は述べた。
プーチン氏は長らく、ロシアが武力で奪取したウクライナ領の法的承認を求めてきた。これには、2014年に不当に併合した南部クリミア半島と、現在ロシア軍が大部分を占拠している東部ドンバス地域が含まれる。
しかし、ロシアのウクライナ東部での前進はゆっくりとしたもので、人員面で大きな代償を伴っている。アメリカ拠点のシンクタンク「戦争研究所」によると、このペースでは、ロシア軍がドネツク州の残りを制圧するまでに、さらに2年近くかかるという。
一方のウクライナ政府は、ロシアの侵攻に報酬を与えるなどあり得ないとして、自分たちが今も堅持しているドンバスの一部をロシアに譲るという選択肢はないと主張している。
プーチン氏の発言後、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアが「戦争を本当に終わらせる努力」を「見下した」と述べた。
修正案の協議必要とプーチン氏
アメリカが20日にウクライナに提示した和平案は、モスクワの要求に大きく傾いた内容だったが、その後、ジュネーヴでの米ウの交渉で修正された。この時、欧州の代表者らもジュネーヴに滞在していた。
しかしこの案は、ウクライナへの安全保障の保証と並んでロシアとウクライナ両国の最大の争点となっている、占領地域の問題に触れていないと様子。
プーチン氏は27日、新しい修正案がロシアに提示されたと述べ、これが戦争終結に向けた将来の合意の「基盤」になり得ると述べた。
一方で、「外交的な文言に置き換える必要がある特定のポイント」について、協議が「絶対に必要だ」と付け加えた。
記者から、クリミアとドンバスがロシアの実効支配下にあると認められつつ、法的には認められない可能性について問われると、プーチン氏は「我々とアメリカ側が協議しているのは、それについてだ」と述べた。
プーチン氏はまた、スティーヴ・ウィトコフ特使を含むアメリカ代表団が来週前半にもモスクワを訪問する予定だと認めた。ドナルド・トランプ米大統領もこの日、記者団に対し、ウィトコフ氏に加え、大統領の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏がモスクワに同行する可能性があると述べた。
ゼレンスキー氏は27日夜のビデオ演説で、ウクライナとアメリカの代表団が「ジュネーブで確保した項目を、和平と安全保障の保証への道筋となる形に翻訳するため」に会談すると語った。
ゼレンスキー大統領は名前を挙げなかったが、側近のアンドリー・イェルマーク氏は、ダン・ドリスコル米陸軍長官が週後半にキーウを訪問する予定だと述べていた。
トランプ氏は26日、ロシアとウクライナの間には「残る対立点はわずかしかない」と述べ、これらの点を協議するためのゼレンスキー大統領との会談は、和平合意の成立が前提になるとの見方を示した。
一方、プーチン氏は記者団への発言であらためて、ウクライナ指導部を見下している様子をあらわにし、正統性がないと考えていると述べた。そのため、ウクライナと文書に署名することは「無意味だ」と付け加えた。
ゼレンスキー氏は2019年5月に民主的に選出され、昨年5月に任期を終えるはずだった。しかしウクライナでは、ロシアの全面侵攻を受けて戒厳令が出されたことで、選挙が実施されていない。ウクライナ議会は今年2月、ゼレンスキー氏の正統性を確認する決議を、全会一致で採択した。
プーチン氏はまた、ロシアが今後数十年以内に欧州大陸を攻撃する可能性があるとする欧州指導者らの警告を、「私たちからすると、それは本当に笑える話だ」と退けた。
ホワイトハウスとトランプ氏は、最近の和平交渉に向けた外交的取り組みを楽観視する態度を示しているが、欧州側はプーチン氏が本当に戦争終結を目指しているのか、懐疑的な見方を繰り返し示している。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は26日、ロシアが第2次世界大戦後の発想を持ち続けており、欧州大陸は大国が他の主権国家を「分割」して自分の「影響圏」にできる場所だといまだに考えていると非難した。



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