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[10.10 キリンチャレンジ杯 日本 2-2 パラグアイ パナスタ] 豪快な一撃で瞬く間に試合を振り出しに戻した。パラグアイに先制を許してからわずか5分後の前半26分。1トップで先発した日本代表FW小川航基(NECナイメヘン)の右足がパラグアイゴールに襲いかかった。 【写真】日本代表の新ユニフォームの画像がリークされる MF佐野海舟からの縦パスを受けると、前を向いて右足を一閃。無回転の強烈なミドルシュートがパラグアイGKロベルト・フェルナンデスの手を弾いて上に浮きあがり、ワンバウンドしてからゴールラインを越えた。強烈なシュートを弾いて倒れてしまった相手GKは立ち上がるのが遅れ、反応できなかった。 「インパクトのあるシュートをいつも心がけていて、ああいうシュートは自分の得意なシュートパターンというか質」。 嫌なムードを振り払う千金の同点弾は、やや距離のある位置から迷わずシュートを打つ判断をしたことも素晴らしかった。 「シュートを打てる位置にボールをトラップできたところが大きかった。ああいうところでボールがガチャガチャとなってスパッと縦に入ったときは、ディフェンスもガッと前に来づらいと思う。その中で判断できたのは良かった」。自らうなづくように言った。 素早い判断は名波浩コーチのアドバイスによるところが大きかったという。「振れるタイミングで振るようにというのは、名波さんからこの代表活動でほとんど毎日言われ続けてきたこと。それがあの瞬間に頭によぎって、すぐに振るという判断をできた」。小川が高卒ルーキーとしてジュビロ磐田でプロになった16年当時、監督を務めていたのが名波コーチ。恩師の教えを結果に結びつけた。 ゴールシーン以外にも前半5分にMF伊東純也の右クロスからヘディングシュートを打ったり、後半4分に伊東の右CKに頭を合わせて決定的なシュートを打ったり、得点の匂いを感じさせる場面を随所に見せた。 「自分の良さをだんだんみんなが理解してくれた印象は試合を通して分かった。(伊東)純也くんだったり、僕がコーナーやクロスからの得点が得意だという共通意識を持ってくれて、自分に対していいクロスを上げてくれている。自分にとってはすごくプラスだと思う」 フリーになるうまさも見せているが、その点に関しては「クロスからの僕の得点ではフリーな状態でシュートを打つというシーンをよく見ると思うけど、僕自身もそれは感じているし、正直、そこに対してはものすごく考えている。(相手)DFの特徴やクロサーの特徴を意識しているからこそ、フリーの状態でシュートを打てると思うし、それは自分のストロングポイントの一つかなと思う」と自己分析している。「できれば複数得点したかった」という部分は今後へのポジティブな課題だ。 パラグアイ戦の得点でA代表での通算ゴールを2ケタの10得点に乗せた。出場11試合での10得点は、故・釜本邦茂氏が1966年に打ち立てた12試合10ゴールを更新し、史上最速での2ケタ得点到達となった。 奇しくも釜本氏のお膝元である大阪での新記録達成には、もう一つのエピソードもある。桐光学園から磐田に入団するときにクラブスタッフや当時の名波監督から言われていたのが「釜本さんを超えられる。お前はそれだけのポテンシャルを秘めている」という期待の言葉だった。 「プレーを見る機会はなかったけど。釜本さんという名前はいつも自分の耳に入っていた」とリスペクトの念を示し、「ただ、釜本さんを超えたわけでも得点数を上回ったわけでもない。ここからだと思うので、一喜一憂せず、満足することなく、前進していければと思う」と8か月後の大舞台を見据えた。