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28日の日本市場では日経平均株価が下落している。米国休場を受けた週末で手掛かりに欠け、一部の人工知能(AI)関連株の値下がりが目立っている。債券は下落(金利は上昇)、円は対ドルで156円台前半で推移している。
日経平均は一時的に5万円の大台を割り込む場面もあった。東京エレクトロン、SCREENホールディングスやレーザーテックといったAI関連の一角が下落している。東京都区部の消費者物価指数は日本銀行の早期利上げ観測を後押しする内容で、利上げ期待から銀行が高く、三菱重工業を中心に機械も高い。10年国債利回りは上昇、円相場は小動き。米国市場は27日が祝日で休場だった。
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長期金利上昇、円下落、株式は最高値と大幅調整という値動きが大きかった11月が終わりを迎え、金融市場は日米金融政策が決まる12月に入る。米国は利下げで日銀は利上げという予想が市場で増えおり、相場水準を左右する。
SMBC信託銀行の山口真弘投資調査部長はこの日の日本株について「投資家心理が悪くなっているわけではないが、AI関連株の調整気味な展開が続いている」とした。日中関係の悪化で中国関連株も買われづらいという。
国内株式・債券・為替相場の動き-午前11時07分
日経平均株価は前日比0.1%安の5万107円38銭
東証株価指数(TOPIX)は0.1%高の3371.4
長期国債先物12月物は一時前日比18銭安の134円96銭
新発10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い1.815%
円は対ドルでニューヨーク終値比横ばいの156円35銭
株式
日経平均は下落、半導体関連の一角など電機の売りが先行している。TOPIXは値上がりする場面が多く、東証プライム上場銘柄のうち約7割近くが上昇、業種では機械や銀行が高い。
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三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「国内外で材料が乏しく、海外勢も休みが多いとみられ、薄商いになりそうだ」と指摘していた。
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債券
債券相場は下落。先物が夜間取引で軟調に推移した流れを引き継いだ。前日に相場が上昇した反動の売りも出ている。
10年国債利回りは1.815%と前日比で2bp上昇、長期国債先物中心限月の12月物は一時前日比18銭安の134円96銭に下落した。
東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、債券相場は前日の上昇の反動もあって売りが先行し、その後に持ち直す展開を予想している。きょう実施の2年国債入札については「2年債は補正予算に伴う国債増発となる可能性があるものの、需給は良好で利回り水準が高く、無難に消化されるとみている」と述べた。
為替
円相場は対ドルで156円台前半で推移。米国の祝日で新規の手掛かり材料に乏しい中、来週の日銀の植田総裁の講演で早期利上げの可能性を見極めようとの雰囲気が強い。
三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、「米国市場は感謝祭開けで今後は多少市場流動性が戻ってくるが、例年感謝祭後の週末は休みが多く、市場参加者が少ない」と指摘。「日銀の植田総裁の発言機会あるので一番の注目点になる」と述べた。