ニュース本文


 自民、公明両党は17日、衆院憲法審査会(森英介会長)の幹事会で、憲法改正手続きを定めた国民投票法の改正案を提示した。現行の公職選挙法と整合させ、安倍晋三首相が目指す改憲を制度面で地ならしするのが狙い。しかし、多くの野党は賛否を保留し、今国会での改正は見通せていない。与野党の調整が長引けば、今国会中に憲法審で具体的な改憲項目の審議に入るのは難しくなる。

     自民党の中谷元(げん)与党筆頭幹事と公明党の北側一雄幹事が幹事会で改正案を示した。改正は、投票人名簿の縦覧制度廃止▽駅や商業施設への共通投票所設置▽遠洋航海中の洋上投票の対象者拡大??など8項目で、多くは公選法に準じている。

     中谷氏は「31日に全会一致で審査会で提案したい」と野党に共同提案を持ちかけた。しかし、改憲案への賛否を呼びかけるテレビCMの規制など踏み込んだ法改正を求める立憲民主党などが難色を示し、共産党は反対した。立憲の山花郁夫野党筆頭幹事は「党内手続きが間に合うかどうかだ」と記者団に語った。与党は24日に幹事懇談会を開き、野党の賛否を確認する方針だ。

     自民党は3月の党大会前に自衛隊明記など4項目の改憲案をまとめた。これをベースに今国会の憲法審で議論を進めようとしたが、学校法人「加計学園」「森友学園」の問題などで与野党対立が深まり、戦術の見直しを迫られている。国民投票法改正を急ぐ背景には、改憲の機運がしぼまないように今国会で何らかの結果を出しておく必要があるという事情が透ける。中谷氏は「改正案は今国会でぜひ仕上げたい」と記者団に語った。

     野党には、公選法と合わせるための国民投票法改正に表立って反対する理由はない。それなのに簡単に与党の土俵に乗らず、駆け引きの材料にしている面は否定できない。

     衆院憲法審は17日、幹事会に続いて初会合を開いたが、国民民主党の結党に伴い、新幹事を選出しただけで終了した。実質審議のめどは立っていない。【小田中大、立野将弘】

    国民投票法の改正項目

    (1)投票人名簿の縦覧制度を廃止し閲覧制度を創設

    (2)在外投票人名簿の登録期間を柔軟化

    (3)駅や商業施設などに共通投票所を設置

    (4)期日前投票の事由に「天災・悪天候」を追加。開始時刻の前倒しや終了時刻の延長も可能に

    (5)洋上投票の対象船舶を拡大。船員だけでなく実習生も対象

    (6)繰り延べ投票の告示期限を「少なくとも5日前」から「少なくとも2日前」に変更

    (7)投票所への同伴を幼児から18歳未満に拡大

    (8)郵便投票の対象者を「要介護5」から「要介護3、4」に拡大



    記事一覧 に戻る 最新ニュース読み比べ に戻る