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しかし、この「当たり前のこと」が日本ではあまり積極的に告知されていない。冒頭に紹介した東京駅の新幹線乗り場で悩んでいたバックパッカーの彼は、もし仮に欧州風の「京都への先着列車は、何番線から出る何時発ののぞみ××号」という表示が存在したら、それで確認してまっすぐそのホームに向かうことができただろうが、あいにくそういう形で整理された案内にはお目にかかったことがない。

新幹線の駅ホームにある電光掲示板や待合室のモニターにも到着時刻についての言及はない。せっかくあれほどまでに見やすい掲示板を作ったのならば、停車駅名に続けて到着時刻をカッコ書きしたところで大きな投資にもならないと思うがどうなのだろうか。

日本は世界的にも「テクノロジーが進んだ国」であることは誰もが認めるところだ。ただ、その技術の利用方法が違う方向に向かっているという見方もある。ソフトにしてもハードにしても、「ハイスペックすぎてコストがかかりすぎ、導入したくても予算的に無理」と断念する外国のバイヤーも多いという。

ユーザーフレンドリーな表示とは

首都圏の通勤電車では所要時間などを表示するモニターの設置が一般的になってきた(撮影:風間仁一郎)

「車内における適切な乗客への案内」という点では、東京の首都圏を走る通勤電車でも各駅への所要時間や遅延案内などがモニターに表示されており、スマホで確認しなくてもいろいろな情報が車内で視認できる仕組みになっている。しかし「車内でもたらされる情報の質」では、欧州の先進国に水をあけられていると言わざるをえない。

先行的なシステムを導入しているドイツやオランダなどでは、近郊列車でも長距離列車でも車内に大きめのモニターを多用、GPSや運行管理システムとを融合し、現在の走行位置や遅れの具合などを刻々と映し出せる仕組みを作っている。具体的には、「停車各駅への予定到着時刻(遅延がある場合は情報が都度、補正される)」「次の駅で乗り継げる列車の発車時刻と番線」といった情報が表示される。


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