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米国の新車販売は2016年に1755万台と過去最高を記録。好調を牽引するのは足元の新車販売の6割以上を占めるピックアップやSUVだ。新車販売が膨らんでいることは、将来の補修用タイヤの需要増を約束するだけに、各社とも、特需への対応で多忙をきわめている。

米国では日常的に車を使い、走行距離も長く、悪路も多い米国では1年でのタイヤ交換が一般的だ。タイヤ交換の頻度も高く、補修用は新車用に比べ利幅がよいともなれば、タイヤメーカー各社にとって米国市場の取り逃しは許されない。

得意分野の大口径タイヤにこだわる

米国のSUV向け市場で、もっとも成功しているのが、国内タイヤ4位の東洋ゴムだろう。もともとSUV用に特化したニッチ戦略を取っていたため、TOYO(トーヨータイヤ)や北米に強いNITTO(ニットー)ブランドにはコアなファンが多い。SUV用、なかでも20インチ以上の大口径では米国での市場シェア4割を占め、首位を維持する。

東洋ゴムの大口径タイヤ「オープン・カントリー」。オフロードでの性能で高い評価を誇る(写真:東洋ゴム)

ただ、このクラスは数も少なく、SUV用のボリュームゾーンはあくまで18インチ。新車で使われるのも、18インチが中心だ。それでも、買い替え時に20インチ、22インチにインチアップして乗るユーザーが増えており、このニーズをしっかりつかんで、同市場で圧倒的な存在感を発揮している。

そして、市場が急拡大するタイミングで、このSUV用タイヤの生産ラインを増強したこともプラスに効いた。米ジョージア州の工場は2015年12月の拡張で年産900万本、そして追加増強が昨年完了し、年産1150万本体制が確立。

しかも、この新工場には強みがある。「われわれの製造設備はフレキシブルにインチ替えしてタイヤを生産することに適している」(清水隆史社長)というのだ。そして、「より利益率の高い大型、我々の得意とするところに集中させている」と清水社長は説明する。

実際、昨年に18インチなどのボリュームゾーンのタイヤを投入したところ、仏ミシュラン傘下のBFグッドリッチ社らと激しい価格競争に発展、前期業績不振の一因を作ってしまった。現在は、より付加価値を出しやすい大口径のタイヤ中心の生産に切り替え、好業績を築いている。


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