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エジプトでは依然、ムスリム同胞団のメンバーや、反体制デモの支持者たち数万人が投獄されたまま。ムスリム同胞団は「テロ組織」に指定され、投獄を免れた幹部メンバーたちは、トルコやカタールなどの近隣国や欧州に逃れて政権奪還の機会を虎視眈々と狙っている。

一方、約75万に達するエジプト内の同胞団は、平和的な政治路線の継続を訴える多数派の主流派と、武装闘争も排除しない反主流派に分裂。武装闘争を続けているのはそのごく一部だが、関連する武装組織の存在は無視できない。

主流派は、「武器を手にすることは許さない」と平和路線の堅持をうたい、武装闘争に走るメンバーに対しては除名も辞さない断固たる考えを示している。ただ、政権側の弾圧によって目の前で仲間たちが死んでいった若手のメンバーや、家族らが投獄されたメンバーの中には、復讐心から武器を手にする者が後を絶たないのが実情だ。

警察や検問所にはむやみに近づくな

ムスリム同胞団の関連組織とみられている武装組織「ハズム運動」には、多くの志願者がいるという。ただ、ハズム運動の武装闘争は警察を中心に治安組織に的を絞ったもので、外国人観光客は今のところ、攻撃対象にはなっていない。警官や検問所など攻撃対象になりうるものには近づかないという対策が重要だ。

一方、IS系の「ISシナイ州」などイスラム過激派の活動がシナイ半島北部やリビア国境に近い西部砂漠の周辺で活発になっている。シナイ半島北部はジャーナリストも立ち入り禁止になっており、観光には影響がないものの、しばしば主要な活動地域を越えてテロ事件を起こしている。

4月にはシナイ山麓にある聖カトリーナ修道院付近の検問所を武装勢力が襲撃、警官1人が死亡した。また、7月には紅海の有数の保養地ハルガダのビーチで、イスラム過激派とみられる男によるナイフを使った襲撃事件があり、ドイツ人観光客2人が亡くなった。

また、昨年12月以降、IS系によるキリスト教の一派、コプト教会を狙った大規模な爆破テロも相次いでいる。12月に首都カイロのコプト教大聖堂で、今年4月に北部タンタとアレクサンドリアのコプト教会でほぼ同時にテロが起きた。コプト教を襲撃する目的は、イスラム教徒とコプト教徒の対立を煽り立てることだ。


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