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世界的観光都市ベネチアには、人口の400倍もの観光客が訪れ、住民生活を圧迫しているという(写真:orpheus26 / PIXTA)
『新・観光立国論』が6万部のベストセラーとなり、山本七平賞も受賞したデービッド・アトキンソン氏。
安倍晋三首相肝いりの「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」委員や「日本政府観光局」特別顧問としても活躍している彼が、渾身のデータ分析と現場での実践とを基に著した『世界一訪れたい日本のつくりかた』は、発売1カ月で2万部を超えるベストセラーとなっている。
本連載では、訪日観光客が2400万人を超え、新たなフェーズに入りつつある日本の観光をさらに発展させ、「本当の観光大国」の仲間入りを果たすために必要な取り組みをご紹介していく。

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『世界一訪れたい日本のつくりかた』は2万部を超えるベストセラーとなっている(書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします)

最近、スペインで最も多くの観光客が訪れるバルセロナや、世界的な観光都市であるイタリアのベネチアなどで、相次いで住民による観光産業に対するデモがあったと報道されました。

これらの海外報道に触れた人の中には、「京都でも同じことが起きるのでは」と懸念されている方もいます。

確かに、日本を代表する観光都市・京都の市民からも、増加を続ける外国人観光客に対する不満を耳にすることがあります。住民の公共交通機関であるバスや電車が混雑して利用できない、騒がしくなって静かに暮らせない、ゴミをポイ捨てされたなどなど、例を挙げたらキリがありません。

この連載では拙著『世界一訪れたい日本のつくりかた』から要点をご紹介する形で、人口減少していく今の日本にとって、「観光」はまだ大きなポテンシャルを秘めた産業だということをお話ししてきました。記事への反対意見としてはやはり、「住民の生活が脅かされるので、外国人観光客にはあまり来てほしくない」というものが目立ちました。

では、バルセロナやベネチアの住民たちが直面している問題と、京都で住民の皆さんが感じている不満は同じなのでしょうか。

反対・賛成という立場ありきではなく、これら2つの出来事を冷静に検討してみて、そこから日本が何を教訓にすべきかを考えていきましょう。


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