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「あのね、メールは毎日入れたほうがいいんだけど、相手には返信を強要しないこと。お見合いで出会って2回目、3回目のデートをしているときって、信頼関係を築いている真っ最中。そんなときに、お相手に“ああしてほしい”“こうしてほしい”とリクエストしたら、いい結果は生まない。優しさや気持ちを与えたからといって、同じ量の優しさと気持ちを返してもらおうとすると恋愛はうまくいかなくなるよ」

「はい」

私の言葉に、昂は力なく答えた。

そして、なんとか4回目のデートにこぎつけただが、デートの間中ギクシャクした空気はぬぐえず、翌日、美智恵の相談室から“交際終了”がきた。

恋愛初心者は、場数を踏むことが大事

昂の落ち込みようはなかったが、救いは陽子とも交際していたことだ。交際していたのが美智恵だけだったら週末がぽっかりと空いてしまうが、日曜日には陽子と2回目の食事に行く約束をしているという。

「美智恵さんはすごくおとなしい人でこちらがグイグイ引っ張っていかないといけなかったけれど、陽子さんはすごく積極的な女性だから、何かとラクなんです。初めてのデートを終えたときも、帰り際に“次はいつお会いできますか?”と、彼女から聞いてくれたんですよ」

ところが3回目のデートを終えた後に、昂からこんな電話がかかってきた。

「デートに行く電車の中で、“ああ、なんか会うのがおっくうだな”と思ってしまったんです。積極的なのはいいんですけど、会うたびに、いろんなことを言われる。たとえば、『メールは夜の10時までに欲しい』とか、『持っているバッグが、今日の服には合わない』とか。最初は、はっきり言ってもらったほうがいいと思っていたけど、なんだかあれこれリクエストされるのって気持ちのいいものじゃない。僕が美智恵さんに“なんで返信してくれなかったのか。1晩放置されるのはつらい”といったのが、どのくらい彼女にとって嫌だったのか、身をもってわかりました」

3回目のデートで乗り気ではない態度が陽子に伝わったのだろうか。その翌日に陽子の相談室からお断りが入った。

これまで恋愛経験のなかった男性がいきなり婚活の舞台に上がると、誰もが昂のような苦い経験をする。しかし、失敗から学ぶことも大きく、そこからどうすれば相手の気持ちがつかめるようになるか、少しずつわかってくるようになる。恋愛初心者は、傷つくことを恐れずに場数を踏んでいく。これにつきる。

そして、結婚をしたいのなら、止まらずに会い続けることだ。これは婚活に限ったことではなく、行動力こそがすべて成功への道を切り開いていくのだから……。

鎌田 れい 仲人・ライター

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かまた れい / Rei Kamata

雑誌や書籍のライター歴は30年。得意分野は、恋愛、婚活、芸能、ドキュメントなど。タレントの写真集や単行本の企画構成も。『週刊女性』では「人間ドキュメント」や婚活関連の記事を担当。「鎌田絵里」のペンネームで、恋愛少女小説(講談社X文庫)を書いていたことも。婚活パーティーで知り合った夫との結婚生活は19年。双子の女の子の母。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイトはコチラYouTubeも開設。

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