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地域の一員に溶け込むことに苦労した人は少なくない。それでは、どうすれば、地域に溶け込めるのだろうか。

飲み会やランチの誘いは可能な限り参加。家に招待されれば、積極的に行きました。そうした席で、新たな知り合いも増えるという感じで、だんだんネットワークが広がっていった。好き嫌いがないことと、知らない食材を楽しむチャンレジ精神が奏功したと思います」(建設・40歳)

海外勤務では、英語だけで押し通すのではなく、運転手に練習相手になってもらったりしながら、少しずつ現地の言葉を覚えて、英語に交ぜて話すようにしました。だんだん現地スタッフも笑顔を向けてくれるようになった」(メーカー・43歳)

また、祭りなどの行事に積極的に参加することで人脈を構築する人もいる。このように、溶け込むための第一歩は、その地域を知ろうとすること。それが相手に伝われば、その後は、スムーズに進むようだ。ここで紹介した人たちは、いずれも転勤当初に、地元の特産品や歴史を調べ、食べ歩きや名所旧跡めぐりなどを楽しんでいる。すでに興味をもっているので、あとはそれが相手に伝わるのを待つばかりという状態だ。

馴染めずに帰ってくるのはモッタイない!

一方、ほとんど交流することなく戻ってくる人が少なくないのも事実。

「部下のBは、いまだに5年前の赴任先の悪口を言っている。でも、実際は地域に溶け込む気持ちがゼロ。転勤先での人との交流を嫌い、仕事が終われば、逃げるように帰って家に引きこもっていたという。新しい環境を新鮮に感じる感性が欠けているのか。こういう人を転勤させるのは資源の無駄づかいというか、東京でもいらない」(サービス・48歳)

「最近は、SNSで学生時代の友人などと常時つながれるし、ゲームで時間をつぶすこともできる。1人でいることは苦痛ではないと豪語する人間までいる。せっかく転勤したのに親しい人間の1人も作らずに戻ってくる人が増えてきたのは残念」(飲食メーカー・52歳)

「上司のCさんは、工場長としてアジアの某国に赴任したのに、どうしても作業着を着るのが嫌だったらしい。東京や欧州でバリバリやっていた営業マン時代と同様に、上質のスーツで出勤してくることにローカルの人たちは反発。重要情報がCさんに入らなくなって、ちょっとしたトラブルが大きくなった。すぐ異動になったけど、あれって左遷なんだろうね」(商社・29歳)

郷に入っては郷に従え。ほんの少しでもいいから、新しい地域に寄り添う気持ちが大切。それだけで、自分をとりまく環境はガラリと変わるからだ。これまでのライフスタイルに固執する人は、それほど固執すべき理由があるのか、まずはそこから検討すべきだろう。


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