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日本市場を特別と考える理由はまだある。フェラーリは「テーラーメイド・プログラム」が充実しており、デニムやオーストリッチ(ダチョウ)を用いた内装や外装など、自分好みの?世界に1台だけ?の車を創り上げることができる。これらに対する日本人のこだわりはハンパなく、フェラーリ本社があるイタリアのマラネッロのアトリエまで飛んで、素材を選ぶオーナーもいるという。

昨年フェラーリが日本市場に進出してから50年目の節目を迎えたが、それを機に日本限定の「J50」を10台生産した。フェラーリの70年の歴史の中で、特定のマーケットために新モデルを生産したのは、米国の60周年の時と日本の50周年の時だけという。

現在フェラーリは日本市場の強化にむけて動き出している。正規ディーラーのネットワークを拡充し、新車でも中古車でも正規ディーラー経由での販売比率を高めるのが目標だ。国内にある9か所の正規ディーラー経由で購入すれば7年間の無料メンテナンスなどのサービスを受けることができる。非正規の独立系のディーラーでの購入ではこうしたサービスを受けることはできない。正規ディーラー販売を通じたオーナーのネットワークを拡充し、顧客の囲い込みを図る戦略だ。

その一環として同社と正規ディーラー契約をしている「コーンズ・モータース」は今年6月、アジア最大級のアフターサービス拠点を東京・東雲(しののめ)に開設した。フェラーリのオーナーの約半数を占める関東の顧客へのサービスを充実させる狙いだ。東京・芝にあるサービスセンターの2倍の処理能力を誇るという。これもまたフェラ―リの正規ディーラーに顧客を呼び込むための?呼び水?と言える。

本国以外で初めて認定証発行を可能に

さらに、10月にはこの「コーンズ東雲サービスセンター」で、本国以外では世界初の部門が設置される。「オフィチーナ・クラシケ」という部門で、生産から一定期間が経過したフェラーリの真贋を確かめ、すべて純正部品と認定すれば「認定証」を発行する取り組みだ。

70周年イベントには多くのフェラーリファンが詰め掛けた。フェラーリも新規顧客の開拓に力を入れている(写真:フェラーリ・ジャパン)

従来は本国イタリアにまで車を輸送しなければこうした鑑定はできなかったが、日本でもいわゆるクラシック・フェラーリカーの認定ができるようになる。たとえば、1960年代に生産された希少な「250GTO」は認定証の付与により、40億円の値がついたこともある。

「販売台数は追わず、希少性や唯一無二を大事にする」とデパオリ社長は言うものの、新規顧客の開拓も余念がない。フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどSNSを駆使し、情報発信やユーザー参加型のキャンペーンなどを展開し、ターゲットとする会社経営者や起業家、医師など富裕層へのアプローチを展開する。


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