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次に、鉄道新線の実現に前向きな政治家たちの存在がある。

代表的なのは橋下徹・元大阪府知事だ。大阪維新の会が2011年の大阪市長と府知事のダブル選挙で勝利した後、鉄道整備を具体化すべく意欲的に取り組んできた。2015年の「大阪都構想」の住民投票でも、なにわ筋線、西梅田・十三連絡線などの建設を公約として掲げていた。阪急系の北大阪急行電鉄は今年1月に箕面市への延伸工事に着手したが、これも大阪維新が与党となった影響が大きい。

一方、神戸市営地下鉄と阪急の直通構想に積極的なのは神戸市長だ。自民などの推薦を受けて今年10月の市長選で再選されたことで議論がスタートすることになった。

大阪圏の将来も見えてきた

3番目に、大阪圏で大規模プロジェクトの方向性が定まりつつあるタイミングだということも見逃せない。

阪急伊丹空港連絡線は、宝塚線曽根駅付近から分岐する3kmの支線となる。2001年に完成した高架線は折り返し線があるなど比較的余裕のある構造になっている(筆者撮影)

阪急グループは梅田駅に隣接する「うめきた」開発に参加し、グランフロント大阪の運営に参加するなど商圏の拡大を目指してきた。貨物駅移転の大幅遅延で先行きが危ぶまれてきたが、2024年に完成するメドがついた。廃港の動きのあった伊丹空港、経営再建問題が長引いた関西空港の運営権は、共にオリックス系の関西エアポート社に委ねられ、将来への道筋がようやく示された。また、新大阪駅には2037年にリニア中央新幹線、2046年に北陸新幹線が乗り入れると発表があったばかりだ。

最後に、関西において、将来の鉄道ネットワークを議論する時期が近づいている点を指摘したい。

過去、旧運輸省系の審議会が約15年ごとに次世代の鉄道計画をデザインした答申を出してきた。審議会のお墨付きを得ることが鉄道新線建設に必要な許可や補助の最低条件と考えられてきたので、事業者や自治体は懸命にアピールしてきた。東京圏では2016年4月に答申が示されて話題となった。関西だと1989年と2004年に答申路線が発表されている。

次の答申はいつになるのか。近畿運輸局交通政策部の担当者に聞いてみると、「やるかどうか、時期も含めて内部で検討している段階だ」という。阪急は早めに観測気球をあげることで、関係する自治体や政治家、国交省の反応を探りつつ、答申での採択につなげていきたいのだろう。


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