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藤野:現在の銀行の収益構造を見ると、住宅ローン、保険、投資信託というリテール(一般消費者向け)営業が実質的な3本柱なのですが、銀行内部では、相変わらず法人融資が銀行ビジネスの華と思われていて、リテールの部署に対するリスペクトが感じられません。それなのに、リテールはノルマが厳しく、キャリアパスもない。本当はとても優秀な人たちなのに、精神的にきつくて、そんな組織に嫌気が差して辞めてしまう人が後を絶ちません。メガバンクが大リストラを始めたのは、それなりにニュースではありますが、すでに銀行組織自体がガタついていて、早晩、組織を見直さざるをえない状況に直面しているのは事実でしょう。

首脳は危機感を感じていても、その下がダメすぎる

中野:メガバンクは、今の銀行が抱えている組織の問題について、かなり積極的に反応しています。今回の大リストラにしても、みずほフィナンシャルグループだけでなく、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループの3メガバンクがほぼ同時に発表しました。で、私はこの大リストラ発表については、経営陣から現場へのメッセージではないかと思っているのです。

藤野:確かに。「このままだとメガバンクは危ない」ということを、経営陣はわかっているのだと思います。ただ、残念ながら一部の取締役クラスや、現場を仕切っている支店長クラスに危機意識が感じられない。そこに対して、もっと危機感を持てと、経営陣は警告しているのかもしれません。

渋澤:危機感のない支店長クラスは、このままじっとしていれば、いつか自分も役員の席に座れると期待しているからでしょう。せっかく支店長にまで上ってきたのに、ここで変な危機感を抱いて自らアクションを起こし、失敗して出世の道を絶たれるくらいなら、つつがなく過ごして、役員になれる道を選ぶという考え方なのだと思います。

中野:正直、今の銀行って、人も店舗もだぶついています。特にメガバンクは重複店舗がありすぎでしょう。しかもこれからは、フィンテックで店舗を構えている意味がどんどんなくなっていくわけですから、恐らく今の銀行員の約半分は、仕事を失うことになるでしょう。


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