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中国との溝は埋まりきらないものの、現在韓国を率いる革新主義者は、中国による要求は、THAAD配備を全面的に反対していた中国から引き出した譲歩である。文大統領は、これ以上のいかなるミサイル配備にも反対しているほか、過去2政権ともMD構築や3国同盟を支持していない、と革新主義者は指摘する。

一方、韓国の保守的な安全保障専門家の見方は真逆だ。「韓国は、相互関係を回復するために中国に対して譲歩しすぎた」と、李明博および朴槿恵政権で国家安全保障補佐官を務めた人物は指摘する。「韓国政府は自立した安全保障の選択肢を放棄することを中国に対して事実上約束してしまった。韓国政府は多かれ少なかれ、韓国と米国との安全保障上の決定に中国が干渉する許可を与えてしまったのだ」。

中国への接近は今に始まったわけではない

中国と米国の「中間点に立つ」という考え方は、特に韓国の保守主義者の意に反するものだ。「中国政府は、韓国を米国勢力下から中国側へと誘い込むことのできる『揺れ動く国』だと見なしているのではないか」と元補佐官は危惧する。「三不政策は、従来の米韓同盟に新たな試練をもたらすかもしれない」。

米国のハーバート・R・マクマスター国家安全保障補佐官など、トランプ政権高官らは中韓の協定を批判しないように慎重を期している。しかし、マクマスター補佐官は、折に触れて北朝鮮の目的は、米国を朝鮮半島から追い払うことであると強調している。

もっとも、中国に「接近」する文政権の方針は、前政権から劇的に変化しているわけではない。朴槿恵大統領も、中国の第2次世界大戦終結70周年の大きな祝典に出席。数少ない外国首脳らの1人として、習主席の隣に陣取り、中国政府のご機嫌をとろうとしていた。

「朴前大統領は、米韓関係と中韓関係との均衡をとろうとしており、そのため中国を先に訪問した。一方、文大統領は米国を先に訪れた」と世宗研究所の北朝鮮研究の責任者は話す。「両者とも2つの勢力の間でうまく均衡をとろうという考えだが、1つ違うのは、文政権の中枢には強力な『中国派』が存在するということだ」。


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