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残業がなくなれば、平日の夕方以降夜までの時間、テレビでいえば「ゴールデンタイム」に家に帰れるはずです。しかし、長年父親が「実質的に不在」だった家庭はもちろん、子育てを妻任せにしている家庭では、もはや「父親の居場所など、あるわけがない!」のです。この実態を、政府は把握できていないようです。

今は、専業主婦など「少数民族」と化してしまった時代です。多数派である「働く奥さんたち」は職場から帰宅し、夕飯作りに子どものお風呂、次の日の準備で、19?21時頃は忙しさのピークを迎える時間帯なのです。専業主婦ならなおのこと、そこに「今までいなかった夫」がいるのは、はっきり言って「うざい」。やれご飯だ、お風呂だ、「おかわり」などと要求されると、妻はまったく悪気はなくても、つい悪態をついてしまうのです。夫は夫で、子どもにTVのチャンネル権はとられるし、小さい子どもがいれば、休日のように「パパ遊んで」などと言われると、慣れていないので、それはそれでしんどい。

このように、狭い日本の家の中で、家庭内の人口密度が突然高くなると、誰かしら「機嫌が悪くなる者」が出てきて、従来の家庭の秩序が崩れてしまいます。そんなことが数回続くと、言葉にこそ出さなくても、「早く帰ってこないで!」と「家庭内の総理大臣」(妻)から宣言されてしまったも同然の夫が続出している、というのが現実なのです。

「帰宅難民の夫」は、いったい何をしているのか

ここで注目していただきたいのが、夫たちの逃げ場は「街」ではなく「町」が大部分だということ。つまり、人がたくさんいる華やかな場所に繰り出すのではなく、地元の町が多いのです。行き先は、ドトールやベローチェなどのカフェや、まんが喫茶など。もちろん、こうしたチェーンはとても便利な空間には違いないのですが、要はかなり地味目のところで時間を潰しているのです。それはなぜでしょうか?

理由は比較的簡単です。そもそも小遣いが少ないところに残業代までカットされているのですから、いよいよおカネがありません。特に、今まで会社のおカネを使ってきた社用族の人たちは、自腹を切ってまで「時間があるから、おいしいものでも食べよう」などとは思わないのです。

お酒を飲みに行くにしても、安い居酒屋どころか、日高屋や立ち食いずしの「ちょい飲みセット」で数百円程度。平均すれば一晩ワンコイン500円くらいが関の山。平日5日分なら2500円、月にすると1万円は超えてきますが、これくらいが「さびしい夜活」の費用なのかもしれません。しかも、おカネだけの話ではないのです。たまには会社の同僚や若手と飲むのもいいけど、仕事が終わって毎週のように飲みに行くほどの話題もない。1人でノートパソコンやスマホ相手に過ごしたほうが、精神的にも癒やされるのでしょう。


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