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このタイミングであえて銀行を目指し、AIやIoTによってビジネスが大きく変わる最先端を実体験するという選択も、一部の積極的な学生の間では強く支持されているようだ。いずれにせよ、狭き門であることは変わらない、と見た方がよいだろう。

今年度の新しい話題として大きな注目を集めている「AI」。就職みらい研究所の『就職白書2018』を見ると、実際に新卒採用活動に導入している企業は、2018年卒では0.4%と極めて限定的だった。一方で、後の新卒採用活動における導入見通しについては、従業員規模5000人以上の企業の23.4%が「検討している」とするなど、大手を中心に急速に広がる兆しも見られる。

具体的な手法としては、AIを用いてエントリーシートや面接画像を分析するといったものが注目されているが、そうした企業の取り組みについて、ポジティブな学生は少数派だ。

就職みらい研究所では2018年2月、2019年卒予定の就活生に「エントリーシートの合否」をAIによって判断されるとした場合、どのように感じるかを尋ねてみた。すると、「とても良いと思う」が5.9%、「少し良いと思う」が14.8%で、計20.8%であったのに対し、「あまり良いと思わない」が33.5%、「全く良いと思わない」が15.9%で、合計49.5%となった。

つまり約半数がネガティブだった。同じく「面接の合否」をAIによって判断されることについても尋ねているが、「良いと思う」の合計が13.1%、「良いと思わない」の合計が67.2%となっており、エントリーシート以上に否定派が多かった。

「AI採用」に就活生が嫌悪感

企業が新卒採用活動へのAI導入に期待していることは、「マンパワーの削減」が73.7%と圧倒的に高いが、「合否の基準の統一」「自社に適した人材の発掘」「採用可能性の高い人材の抽出」がいずれも3~4割に上っており、「人の目によるエラーを解消する」という点においては、学生にもメリットがあるはずである。

ところが、否定派の学生たちからは、「AIには面白さやユニークさを感じ取れないと思う」「変なバグで落とされたらと考えると怖い」「表情や声がAIで完璧にわからないと思う」など、その技術水準への不安が指摘されている。また「最終決定は人に決めてほしい」「機械に判断されたくない」など、感覚的な嫌悪感も少なくなさそうだ。

一方の肯定派からは、「一定の基準で公平に判断してくれる」「早く評価がなされそう」「少なくとも圧迫面接は減りそう」「緊張しなさそう」という声も寄せられており、今年、一定程度浸透することによって、学生の認知が変わる可能性もある。

就職・採用戦線の中で、年々存在感を増しているのがインターンシップだ。『就職白書2018』では、2019年卒採用で、「採用直結と明示したインターンシップからの採用」を実施している企業は10.2%、という結果が出ている。通年採用(26.3%)やリファラル採用(14.3%)よりも低い数字だが、インターンシップを実施している企業の約9割は、実施目的として「仕事を通じて学生に自社を含め、業界・仕事の理解を促進させる」を挙げており、採用広報的な効果も期待しての実施であることがうかがえる。


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