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なぜ異性なの?と思われるかもしれませんが、中高年になってから異性の友人を持つことは極めて有効です。

女性からは共感力を、男性からは思考プロセスを学ぶ

たとえば男性の場合、前述のように女性の持っている独特のコミュニケーション能力を学ぶことができます。男性の中には、中高年の女性と話をしていると突然何の脈絡もなく別の話題に飛躍したりするのが、ついていけないと感じる人もいるでしょう。実はかくいう私も、女性の人たちとお話しているとしばしばそれを感じることがあり、時にいら立ちを感じることもあります。しかしながら、女性同士の会話の進め方を聴いていると、そういったいら立ちを補って余りある「共感力」を学ぶことができるのです。

逆に女性の場合、男性との会話を通じてその思考プロセスを知ることができます。会社で働いていたのであれば、会社における男性の言動からある程度その思考構造を理解できるでしょうが、専業主婦の場合は異性といっても、その多くは夫との会話でしょう。夫婦でのコミュニケーションがうまくいかず、ささいなことでも険悪になってしまうのは、やはりお互いの思考プロセスやそのパターンが十分に理解されていないからだと思います。モノの見方も、男性と女性では随分異なるわけですが、お互いにその違いを理解し合うことで人間の幅が広がることは間違いありません。

特に昨今は独身のシニアも増えてきています。パートナーの有無と「孤独」との間にあまり関係はないと思いますが、いずれにしても友達の存在は非常に重要なものです。パートナーのいない分、自分が今までいた狭い世界から抜け出す意味でも多くの友人を持ち、中でも異性の友人を複数持つことは重要だと思います。それにひょっとしたら友人がパートナーに変わるという幸せが訪れるかもしれません。照れることなく、多くの異性の友人たちと積極的に交流していくべきではないでしょうか。

ところが、独身であればともかく、結婚している男女がそれぞれ異性の友達を持つということに「どことなく抵抗がある」という人がいるかもしれません。

でもそれは必ずしも1対1で付き合うということを意味しているわけではありません。複数の友達同士で、付き合っていけばいいのです。あるいは、女性の中に男性が1人入ったり、その逆だったりすることも大いに結構なことだと思います。私も妻も、仕事とは関係のない趣味の世界で互いに異性の友人をそれぞれ持っていますし、夫婦同士で交流している人も少なからずいます。そうした付き合いの中で、私もずいぶん勉強することができました。結果としてそういう経験を持つことで、夫婦の間のコミュニケーションも従来よりもスムーズになるはずです。異性の友人を持つというのはまさに、シニアだからこそできることだと言っていいのではないでしょうか。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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