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立ち仕事の女性の間で人気が根強い理由は、“疲れにくさ”だ。サクセスウォークのパンプスは、ヒールが通常より内側に位置している。かかとの骨の真下にヒールが位置するため、体の重心が前にかかりすぎず、素足で立っているのに近い、安定感のある履き心地となるという。

社内の反対を押しのけ開発

ブラジャーで重視する「ジャストフィット」の考え方を靴にも当てはめ、インソールには足裏にフィットする素材を採用。種類によっては足幅に応じて細かくサイズを展開し、1つのデザインの靴で最大83のサイズバリエーションを用意している。最近は履き心地が重視される風潮もあり、一般の女性客からの購入も増加傾向にある。

ワコールの靴ブランド「サクセスウォーク」は、通常よりもヒールが内側に位置しており、その履き心地のよさがウリの1つだ(記者撮影)

ワコールが初めて靴を販売したのは1988年。戦後、洋装であるブラジャーなどの販売で成長した同社は、日本人の身体に合った下着を開発するため、毎年約1000人の女性の人体を計測してきた。蓄積した研究データを生かして「女性の足も支えたい」と考えたことが、靴市場に参入したきっかけだった。

だが、当時の商品は履き心地などの面で特徴が少なく、靴の売り上げは伸び悩んだ。その一方で、ブラジャーは「サイドを細く引き締める」「バストを寄せて上げる」などの機能性を打ち出した商品がヒットし始めていた。

高機能の下着の開発に向け、身体の動きに関するデータの蓄積が進む過程で、ある研究メンバーは歩き方や足の着地の仕方に着目し、靴への応用を考えた。ただ、売り上げの大半を占める下着の販売が優先された社内では、「なんで足の動きまで研究する必要があるのか」と疑問視する声も上がったという。それでも反対を押しのけながら研究を進めた結果、2004年に機能性を追求したサクセスウォークの立ち上げにこぎ着けた。


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